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光サイド〜状況〜

短いです

 いつからだろうか。


 僕が私と呼称することがなくなったのは。


 そうだ、王子様が助けに来てくれた時だ。


 瞳を閉じた光はそんなことを思い出していた。


 光がまだ中学生の頃だ。


 その頃はまだ私と呼び、僕の存在価値など嫁ぐことでしかなかった時だった。


 彼が現れた。


 ◇◇◇


「っはぁ……夢か……」


 洋平が自分たちのいる場所を出て一日が経った。初日こそ洋平がいなくても心を安定させていた。


 だが、

(夢を見るってことは逢いたいんだろうな)

 光は両手を合わせて乙女のように目を煌めかせた。


「光さん、起きたんですか?」

「あっ、遥ちゃん。……よく眠れた?」


 蓮井は「ええ」と口を綻ばせた。


 狭めの準備室が光にとっては心地よかった。よく遊んだ洋平との隠れんぼを思い出させるためだ。

 扉を開けた後、そのそばで寝ていた木島を蓮井は揺さぶる。


「朝だよ、遼」

「うあっ、おお」


 手で口を抑えながら木島は一つ、大きな欠伸をする。


 蓮井は「もう、だらしない」と立ち上がった木島の裾を入れていた。


「おはようございます」

「ああ、綾女さん。おはよう」


 洋平がいなくなってすぐ、長部を含めて四人は仲直りした。


 というのも木島と洋平は似たようなものであった。それに気付いた光が取り持ち、長部との関係を良好にしただけだ。


 洋平を探し出し生き残る、それを目的とした同盟。


 その中にはもちろん、賢治たちも含まれていた。


 いないとすれば、

「やあ、おはよう」

「……はい、それじゃあ」

 光に邪な視線を向ける此瀬だけだろう。


 此瀬の挨拶に数歩後ずさる光。対して此瀬は少しずつ距離を近付けようとした。


 一歩二歩と近付いてそして、

「あまり調子に乗るなよ」

 背後から手を銃の形にした木島がいた。


 此瀬は冷や汗を流し「すいません」とだけ答える。


「ただでさえ、お前は信用がないんだ。あいつを追いやったお前はな」


 木島の本心は洋平に死んでほしいことではない。


 最初こそ自分と蓮井の命惜しさに洋平たちに死ねばいいと思っていた。


 だが葛城と話をして考えを変えた。


 あいつだって生き残りたいのだと。そしてその考えの中に自分たちを殺す気などないのだろう、と。


 だからこそ悪意を持っているであろう此瀬を嫌った。長部との話も蹴ることがなかった。


「あなたも同じようなことをしてませんでした?」


 冷や汗を流しながら木島にそう言う。


「確かにな。だがあいつは生き残るだろう。その時に謝るだけだ」

「世迷いごとですね。彼が生き残れるでしょうか。それに許されるでしょうかね」

「その時は僕も助ける」

「俺もだな。本質は悪い奴じゃないってことはわかったからな」


 此瀬の立場はより悪化した。


 そんな中、手をパンと叩く一人の男。


「そこまでだ。今は対立している場合じゃないだろ」

「葛城さん……」

「それよりもここを出ることを考えないといけない。昨日の戦いでゾンビ相手では戦えることは確認したしな」


 その際に此瀬への牽制として木島は火魔法を披露した。


 指から放出した小さな火の玉の連打。それがゾンビに当たり穴を開けていく。


 それによって此瀬以外は頼もしさを感じ、此瀬は軽い恐怖を抱いた。


「昨日は木島と綾女が活躍したからな。蓮井と賢治の行動も良かった」


 空木は此瀬をチラリと見て視線を逸らした。


「俺、活躍できてましたかね」


 賢治は頬を掻きそんなことを言ったが、空木に「木島に比べると、ちょっとな」と返された。


 何も言えずに「ですよね」と俯く。


「飯を食べたら一度、レベル上げを行う」


 空木の声とともに簡単な食事を行う。


 缶詰とカンパンがメインだ。


 少量の水を分け合いながら数分で食事を終える。


 全員で音楽室を出る。


 そのすぐ後だ。彼らがゾンビの群れと出会ったのは。

光の伏線?は後で回収していこうと思います。


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