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勢いって大事

「お前がアンジェリカ・ハロルドか?」


騎士団に入団して間もない頃、


食堂で日替わり定食を食べていたアンジェリカに、


ニヤニヤ品のない笑い方をした三人組が話しかけてきた。


アンジェリカと同じ騎士服を着ているから、


3人とも近衛第2騎士団の騎士であることはわかったが、


アンジェリカは3人が誰かは分からなかった。


『入団の挨拶した時こんな人たちいたっけ?』


アンジェリカは疑問に思ったが、


アンジェリカは近衛第2騎士団の一番の新人であることは間違いなかったので、


この3人は先輩に当たるんだろうと思った。


「確かに私がアンジェリカ・ハロルドです。


まだ騎士団に入団したばかりの若輩者ですが、


よろしくお願いいたします。」


アンジェリカは席から立ち上がって3人に向かってぺこりと頭を下げた。


「はっ!


正妃様のお気に入りだかなんだか知らないが、


実力もないくせに、


コネだけで騎士団に入ってくるような女なんか目障りなんだよ!」


「そうだそうだ!


この方はルッツ侯爵家のご子息フィリップ様なんだぞ!」


「そうだ!そうだ!


フィリップ様のおっしゃる通りだ!!」


何だかよくわからないが、


まん中にいる何だか偉そうな二十歳位の茶髪の男がフィリップ様とかいうやつで、


左右にいるのはその取り巻きらしい。


ルッツ侯爵家と言えば、


ハロルド侯爵家よりも歴史が長いし、


フィリップ様とやらは騎士団においてはアンジェリカより先輩だ。


だから上から言われても特におかしくはない。


うんうん。


「ルッツ様。


確かに私はコネを使って騎士団に入りましたし、


剣術の腕もまだまだ未熟です。


御指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」


アンジェリカはへらっと笑って頭を下げた。


「いや!


だから俺達はお前とよろしくやるつもりはないんだよ!!


物わかりがわるいやつだな!!


実力がないやつは騎士団には要らない!!


女は女らしく家で大人しくしてろ!!」


「御言葉ですが、


いくら騎士団とは言え、


皆が皆、


最初から実力がある人ばかりではないでしょう。


未熟者でも騎士団の日々の鍛練を頑張れば、


いつかはきっと立派な騎士になれるのではないでしょうか?


いえいえきっとなれます!


立派な先輩方の指導があれば必ずなれます!


ねぇ!立派な先輩のフィリップ・ルッツ様!


努力すればいつかは必ず報われる!!


そうでしょう!!?」


アンジェリカは一気にそう言って、


フィリップに詰め寄った。


「え!?まぁ、その、努力すればいつかは報われるかもしれないが…………」


フィリップはアンジェリカの勢いに負けてゴニョゴニョ言い始めた。


「かもしれないじゃ困るんですよ!!


かもしれないじゃ!!


私は先日婚約破棄されたばかりの出来立てホヤホヤ(?)の傷ものなんですよ!!


未来に希望を見いだせるようなことを言っていただかないと!!


絶望したらどうするんですか!!?


ルッツ様!!


いいえ、ルッツ先輩!!


私みたいな未熟者でもいつかは立派な騎士になれますよね!!!!」


アンジェリカに再び詰め寄られたフィリップは


「え!!?あ、あ、うん。。」


フィリップはアンジェリカの勢いに負けた。


「そうでしょう!そうでしょう!


という訳で先輩方、よろしくお願いいたします。」


アンジェリカはへらっと笑ってフィリップたちに握手を求め、


アンジェリカの勢いに負けた三人はなんだかよくわからないままアンジェリカと握手をして



「「「よ、よろしく」」」


と頭を下げた。

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