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マーリー日記

作者: ビスケット船長

僕の名前はマーリー。



生まれてすぐにこの家に来て2年が過ぎた。


いつも僕のお世話をしてくれるママ。


いつも僕と遊んでくれるタカシ君。


いつも遅くまでお仕事で普段はあまり家にいないケド、とっても優しいパパ。



そんな大切な家族に囲まれた僕は世界一幸せな犬だ。



冬が過ぎ。


春が来て。


暑くなって。


また涼しくなって。



ママとパパはあまり変わらないケド、タカシ君はどんどん大きくなっていくなぁ。



今日はタカシ君の誕生日。

10歳になるんだね。



今年の誕生日は日曜だったからパパもお家にいて、みんなでパーティーしたんだ。


もちろん「みんな」の中には僕も入ってるんだよ。

エヘヘ。


タカシ君はケーキ食べてプレゼント貰ってとっても嬉しそうだったから僕も嬉しくなっちゃった。


あまりに嬉しくて尻尾を振りすぎちゃったから明日は筋肉痛になるかも知れないケドこんなに楽しいなら、毎日誰かの誕生日を祝えば良いのに。




そして、また冬が過ぎ。


春が来て。


暑くなって。


また涼しくなって。




今年もタカシ君の誕生日。


なんだケド、去年とちょっと違うなぁ。



そっか。


毎年、タカシ君の誕生日はあるんだケド、毎年が日曜日じゃないから、みんな揃ってパーティーはできないんだね。




それからまた冬が過ぎ。


春が来て。


暑くなって。


また涼しくなって。



それを何度か繰り返して。



やっと来たんだ。



6年間待った日曜日でタカシ君の誕生日。






でも、パーティーはなかった。



そう言えば、誕生日ダケじゃなくて、普段から「みんな」が揃う時が減ってきてる。



タカシ君がママやパパと大声でケンカしてるのも聞いたし、その晩にママが泣いていたのも知ってる。



どうしたんだろう?


タカシ君。



前みたいにたくさん遊んではくれないケド、僕には今でもとっても優しいタカシ君。




冬が過ぎ。


春が来て。


暑くなって。


涼しくなって。




最近はタカシ君がママやパパとケンカすることもなくなったケド、仲直りしたのかな?



今度の誕生日には、また前みたいにみんなでパーティーできるのかな?





でも、そんな中でママが帰ってこなくなった。


タカシ君もパパも黒い服を着て泣いていた。



ママはどこに行ったんだろう?


僕も悲しくなった。




冬が過ぎ。


春が来て。


暑くなって。


涼しくなって。


冬が過ぎ。


春が来たら、今度はタカシ君が帰ってこなくなった。




だけど、パパはママがいなくなった時みたいに泣いたりはしなかったから、僕も寂しかったケド、なんだか悲しくはなかった。


パパも少し寂しそう。



暑くなったらタカシ君が急に帰ってきた。


ママもいつかは帰ってくるのかな?


そう思っていたらタカシ君がまた帰ってこなくなって。



涼しくなって。



冬が来た頃にまたタカシ君が帰ってきて。

パパと一緒に嬉しそうに何か飲んでる。


少し貰ったケド、苦くてあまり美味しくはなかった。

でも楽しかったよ。


ママも早く帰って来たら良いのに。




春が来て。


暑くなって。


涼しくなって。


冬が過ぎ。


何度か繰り返して。


その間に何度かタカシ君が帰ってきて。



また春が来て。





帰りは遅いケド、毎日帰ってくるようになったタカシ君がお父さんって呼ばれるようになって、パパはおじいちゃんって呼ばれて、新しくお母さんと呼ばれるヒトとアスカちゃんって家族が増えて。


僕はアスカちゃんと毎日遊んで。


暑くなって。


涼しくなって。


冬が過ぎて。


春が来て。





今日は日曜日でアスカちゃんの誕生日で。


十数年待ち望んだパーティーが楽しくて嬉しくて。




久しぶりにママが僕の頭を撫でてくれて。




あれ?


ママ、いつの間に帰ってきたの?







僕の名前はマーリー。



僕の一生はコレと言った事件や冒険はありませんでした。



でも、大切に想える家族に囲まれた僕は



本当に



本当に



本っ当〜に!



世界一幸せな犬でした。

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