Eröffnung -開幕-
18年前。
とある国でお姫様が生まれました。
お姫様は白雪姫と名付けられ、大切に、大切に育てられました。
白雪姫は一度だけ一人でお城から脱け出しました。
その後、白雪姫は人が変わったように筋トレをし始めました。
今では騎士団の大柄な騎士よりも筋肉のついた、ドレスの似合わないお姫様となりました。
また、新しい魔王が魔界に認められ、今では魔界を統一し、人間界に恐怖をもたらすようになりました...
「鏡よ、鏡。この世界で一番美しいのはだぁれ?」
美しく着飾った女性が、ゴージャスな鏡に尋ねる。
「それはもちろんお妃様だYO!」
そう、彼女がこの国のお妃様。
「...鏡、ふざけているの?」
「ふざけてないYO!マジメだYO!世界で一番美しいのはぁぁぁ、お妃様っ!」
「まぁいいわ。そう、わたくしが世界で一番美しいのよ。鏡なんかに訊かなくてもわかることだわ」
「そうだYO!お妃様は世界で一番っ美しいっ!」
「うるさいわ。もどりなさい」
「あいYO!」
静かになった、誰もいない部屋でただ一人、お妃様はつぶやく。
「そうよ、わたくしが一番美しいのよ...」
「今日はなにを着ようか、し、ら?」
寝間着を着た筋肉が、線の細い侍女に話しかける。
「この青い戦闘服などはいかがでしょう、白雪姫様」
そう、この人物が白雪姫。
「そうね、白の戦闘服をおねがいするわ」
「こちらはお気に召しませんでしたか?」
「気分じゃないわ」
「では、白の戦闘服をお持ちしますね」
一人となった寝室でつぶやく。
「...やっぱり白の戦闘服よね。他を勧めるなんてあの侍女、どうかしてるわ」
「陛下!魔王陛下!」
どたばたと執務室に入る七人の小人の一人。
「...なんだ?」
そう、返事をしたのは魔王。
「一二〇〇をもってダラナーダ地区の制圧を完了しました。魔王軍ならびにカラルダ王国の損失はこちらに」
「ふむ、戦死者は100か。考えていたよりも多いな」
「人間側がに新兵器があったという話です」
「なるほど。では何らかの対策を取らねばならないな。学校の生徒に何か考えさせておけ」
「了解しました」
「捕虜は宴の後に解放しろ」
「またですか」
「なに、こう見えても魔族が死ぬのは心苦しいのだ」
「陛下...」
「それに...いや、何でもない。下がれ」
「...はい」
廊下に出て、七人の小人の一人は思う。
「...(陛下はいったい何を考えているのだろう...?)」