序章のはじまり
時は、現在より50年の後……
人間は考える葦である。-17世紀フランスの哲学者であり数学者のブレーズ パスカルの言葉である。
彼の死後より3百と数十年、人類はあらゆる分野において画期的な進化を遂げてきた。
内燃機関の発明からDNAの解析・インターネット、etc……
同時に、人類は遥か昔より切望するにも関わらず、人類が未だ未達の領域も存在する。
宇宙進出、永遠の命(若さ)etc……
留まる所を知らない人類の最終到達点はあるのだろうか?
その進化の先にある事象は……
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2055年
そこは、数十年前まではほぼ夢物語に近かった現実-
宇宙旅行が海外旅行と同列に扱われ、行き交う人たちは携帯電話から立体映像を操作するゴーグル型や腕時計型、果ては、歩行を共にするロボットや機械のペットに至るまで一昔前のSF映画の世界が現実となった街。
全てはあの時から僅か5年の歳月を経て、目まぐるしいスピードで進化した。
「人類はついに神の頂きに到達した。」
そんなフレーズが、世界のニュースを乱舞した。2050年某日、とあるコンピューター産業大手数社とアメリカ・日本及びアジア圏・イギリス及びユーロ圏の研究グループに加え世界20ヶ国の先進国が共同で、人類史上最大の発明を成し遂げた。
AI(人口知能)を有するコンピューター(アダム)の誕生である。
これにより、医学・科学・工学等あらゆる学問・学術の融合・進化が不断のスピードで行われる事になりその結果、世界は新たな「智」に熱狂しその膨大かつ深淵なる恵みを享受する事となったのだ。
人々は、その恩恵を受け生活の様式を宇宙にまで拡げ、次第に「国」という概念すらも風化してきた頃「アダム」を作り上げた国家連合は概ね計画通り「世界共和国・ガイア」を樹立した。アダム誕生より僅か5年後の出来事であった。