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第193話 誰のための碑か
現実世界。
昼。
公園。
曇り空。
古い石碑。
町の中央。
昔からある。
誰もが知っている。
そのはずだった。
市職員が調査に来ていた。
最近。
消失事例が増えている。
確認のため。
石碑を調べる。
文字。
残っている。
刻まれている。
だが。
読めない。
意味が分からない。
何を記念した碑か。
誰のための碑か。
誰も答えられない。
老人達も。
町内会も。
資料館も。
分からない。
写真は残る。
記録も残る。
だが。
意味だけが失われている。
若い職員が石碑を撮影する。
保存。
複製。
共有。
最近はそれが習慣になっていた。
失われる前に。
残すため。
その時。
公園の木。
黒い鳥。
十八羽。
静かに並ぶ。
誰も鳴かない。
誰も飛ばない。
ただ。
見ている。
その瞬間。
観測が成立した。
観測層:第4層
記録単位:記念情報侵食
対象領域:現実世界
進行度:増加
異常分類:
意味侵食
文化侵食
継承侵食
備考:
記念物の定義消失を確認。
記録主体:Archive
状態:稼働中
記録は継続される。
歴史は残る。
意味だけが失われる。
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