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第139話 記録にしか残らない
ケルト世界。
森外縁。
夕方。
霧。
境界石。
神兵達。
古い写し。
古い記録。
全部広げている。
消えた名前。
探すため。
だが。
駄目だった。
誰も思い出せない。
どの神兵も。
どの神官も。
どの古老も。
記録だけが残る。
若い神兵が震える声で言う。
「本当にあったんですよね」
老神兵が頷く。
「だから残ってる」
紙を見る。
古い筆跡。
確かに存在していた。
だが。
今は誰も知らない。
森奥。
狼。
九匹。
以前より近い。
境界石の向こう。
あと数歩。
だが。
越えない。
老神兵が静かに言う。
「記録が最後だ」
風。
木々。
霧。
世界は静かだった。
だからこそ。
失われたものが重かった。
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