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二日目

 エリオス王子のもとに来て二日目。


 午前中、王子は公務に集中するため私とは別行動とのこと。部屋で朝食を取り、身支度を整えた後は、城内を一通り案内してもらえるそうだ。


 案内人としてやって来たのは、ルトヘルだった。昨日のちんちくりん発言以来、顔を合わせていなかった。

 なんでこの人なんだろう。ラウリじゃないのね、と思ったら


「なんでラウリじゃないの、って思いましたよね」


 ルトヘルが言った。その鋭さにギクリとした。


 ルトヘルはライトブラウンの短髪に、同色の意志の強そうな瞳。キリリとした精悍な顔立ちをしている。ラウリより体格は小柄だが、よく鍛えられた感じの引き締まった身体つきだ。好戦的な雰囲気を常に発している。


「交代です。連続して聖母様の魅了に当てられるのを避けるため、昨日はラウリだったんで今日は私です。嫌かもしれませんが、我慢してください」


 視線を逸らして早口で言うルトヘルをじっと見た。昨日は睨みつけるような強い眼差しで私を見ていたのに、今日は見ることを避けているようだ。

 ちんちくりん発言で気まずいからだろう。エリオス王子に叱られたし。でも謝ってくれたし、もう気にしていないのにと思って、はたと気づいた。そういえばルトヘルは謝っていない。王子が「無礼で申し訳ない」と言っただけだ。


「仲直りしましょう」


「え?」


「これからしばらくお世話になるのに、わだかまりがあるままじゃ気持ちが悪いもの。私がちんちくりんであることは認めます。これでもアルディアではそこそこイケてる方だと思ってたけど、あなた方が美しすぎるので。でもあなたの発言で私を傷つけたことに対しては、ちゃんと謝罪してほしいの。それで綺麗サッパリ水に流すわ」


 ルトヘルは驚いたように私を見て、申し訳なさそうな顔をした。


「私の心ない発言で、アイリーナ様の名誉とお心を傷つけ、本当に申し訳ございませんでした。心より反省し、謝罪いたします」


 姿勢を正し、思った以上にきちんとした謝罪を述べたルトヘルは、真っ直ぐに私を見つめたまま言い足した。


「そして、あの発言は撤回いたします。昨日までの私は何も見えていなかった」


 プラスアルファで気の利いたことが言えるタイプだとは思っていなかったので、少し驚いた。

 ん、でもこの感覚……これまでの人生で何度も感じたことのある違和感だ。もしかして、魅了が効き始めている……?

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