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許可出し

 食事のあと、エリオス王子を伴って部屋へ戻った。寛いでいたブルーナがソファーから飛び起きた。


「にゃっ、殿下!?」


「ここで、アイリーナとダグラス国王陛下との通信に立ち合う。終わるまで自分の部屋で待っていろ。ほら」


 王子がポケットから使い魔のオヤツを取り出し、ブルーナに手渡した。両手でそれを受け取ったブルーナは、尻尾をクネクネさせながら部屋を出て行った。


 スタンドミラー型の通信鏡をセットし、受信用の手鏡を手元に置いた。まずはダグラスとの個人通信だ。

 スイッチをオンにして何度か呼びかけた。受信用の手鏡はコンパクトケース型で、閉じていてもアクセスがあるとピカピカ光って知らせる。


 間もなくして、こちらの手鏡にダグラスの姿が映った。


「おお、アイリーナ! 待っていたよ」


「今晩は、陛下。無事、エクリシア帝国に着きました。ヴァレンシアのお城で、エリオス王子殿下と共に夜のお食事をいただいたところですの」


「そうか、それは安心した! アイリーナ、すごく美しいな。君の姿が見られて幸せだ。君から連絡がない間、どんなに狂おしかったか。ああ、今日はいつもにも増して幸せだ」


「あの、後ろにエリオス王子殿下がいらっしゃるのでご挨拶を」


 感極まったダグラスが暴走しないように、早めに王子へ繋いだ。


「おお、そうか。では王子殿下に挨拶を」


 後ろを振り返り、部屋の片隅に佇んでいるエリオス王子を呼んだ。通信鏡前の席を譲る。


「初めまして、陛下。お目にかかれて光栄です。エクリシア帝国第一王子のエリオスです。聖母様をご派遣いただいたことを心より感謝いたします。一日でも早くアルディア王国へお返しできるよう、努めます」


 キリッとしたエリオス王子の挨拶に、ダグラスは情けない顔で宜しく頼むと返した。王子と席を代わった。


「王子は聞きしに勝る美男子だな。アイリーナ、魅了は効いているのか?」


 声をトーンダウンさせてダグラスが言った。


「それがですね、あまり効いてないような。それで陛下に聞きたかったんです。魅了するためには何でもあり? 禁止行為はある? どこまでを想定して、貸出の契約を結んであるの?」


 小声で話しても王子には筒抜けだろう。一応言葉を選ぼうとしたが無駄だった。


「なっ、どこまで。ハグとか、き、キスとか、それ以上の行為のことか? 想像しただけで震えてくる。くっ、苦しいが、この苦しみは飲み込もう。私も君も本意ではないが、王子の呪いを解くため。人助けだ。君が他の男の腕の中で……ああ、想像させないでくれ。胸がバクバクして破裂しそうだ。例えそうなっても私の気持ちは変わらないよ、アイリーナ。君が誰をどれだけ魅了しようと、戻るのは必ず私のところだ。分かっているね?」


 ダグラスが頭がおかしいことは分かっていたが、王子との行為が全面的に許容されるとは思いもしなかった。

 え、なにそれ。私がエリオス王子とハグしてキスしてそれ以上の行為をしても、嫌だけどオッケーって言ってるの?


 ブチッと通信鏡のスイッチを切って、強制終了した。


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