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“あの人”との出会い

勉強のやる気がなくなったときとかに僕は近くにある公園に行くようになっていた。

隣町まで来る交通費で小遣いの大半を使っていたため、暇をつぶすために選んだ最適解だった。

 日本になんとか低気圧が接近したとかで、雪がめったに降らないこの地方でも体を凍えさせる風が吹くようになった。ベンチに座り、買ったカフェオレの缶のプルトップを開け、心地よい音が響いたとき

長めのウルフカットに、耳が見えないほどのピアス、明るい茶色のロングコートを身に着けた“彼女”とは正反対のような女性が近づいてきて、こう言った。

女性「すいません、タバコ吸ってもいいですか。」

進藤「どうぞ、ご勝手に。」

とこれ以上話しかけられないようにぶっきらぼうに返した。

にもかかわらず、その人は変わらず話しかけてきた。

女性「君、ここら辺では見ない顔だね。最近引っ越してきた。」

進藤「違います。ここら辺に住んでないだけです。」

女性「そうだっんだー。私、駅前のコンビニで働いてて、結構人気あるんだよー。」

進藤「そうですか。」

女性「ん、今そうは見えないって思ったでしょ。」

といいながら僕の脇腹をついてくる。

彼女の煙草の甘い香りが鼻を突き抜ける。

進藤「タバコ臭いです。」

と思ってもないことを言い返す。彼女はそれを見透かしたようににやける。

進藤「飲み終わったんで失礼します。」

とこれ以上人間と関わらないようにするために帰ろうとしたとき

彼女「私、大体この時間にここにいるから」

と勝手に自分の予定を僕に伝えてきた。


翌日、いつもと同じように日々を乗り切り、いつもと同じように公園に行き、コーヒーを買ってベンチに座ると、急に視界が真っ暗になった。それに驚き、思わず持っていた缶を地面に落としてしまうと急に視界が開け、昨日の女性が立っているのが見えた。

女性「ごめんね少年、驚かせてあげようと思っただけなんだけど」

女性「飲み物買うから、ついてきなよ」

と公園の端にある自販機に向かってゆっくりと歩き出した。

僕はこの場を去ろうとも思ったが、他人と関わりたくない心と自分でもう一本買う金銭的余裕のなさを天秤にかけ、後者を選んだ。

女性「少年はカフェオレが好きなのかい。」

進藤「別に、違います。」

女性「なるほど、私と関わりたくないけど、貧乏だからついてきたのか」

僕は彼女に心を言い当てられたことへの怒りか、踏み込もうとする人間への牽制かわからなかったが起こったかのような声色でこう返した。

進藤「なんでそう思ったんですか。」

すると彼女は短く、しかし強くしっかりとこう返した。

女性「人間を表すのは言葉だけではないってことだよ。」

僕はその言葉に何か言い返そうと思ったけれど、何も言い返すことができないことに、自分でも驚いた。

その人「さて少年、何が飲みたい。」

進藤「僕の名前は少年ではないです。進藤翔です。」

自分でも驚くほど反射的に自分の名前を名乗っていた。

そのことに驚きもせず、驚くほど自然に彼女はこう返した。

その人「そうか翔君、何が飲みたい。」

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