表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

第8話 禁じられた聖域【ロスト・チャイルド】

 黒死焔山はセィラの首元に銀剣を当てがっていた。眼の前には、白い、ハウス状の建物。グノーシス中央聖教会がある。目視は出来ないが、教会の周りには悪魔払いの結界が貼られていた。至高神【プロパトール】の加護を借りて貼られたこの結界は、焔山にも容易には突破できない強度を誇る。焔山が、魔性解放を果たしたなら、また話は別なのだろうが。焔山が、舌打ちをする。


(強固な結界だ。まさかこの俺がこんな手段に訴えなければならんとは……。保険を連れてきて良かった)


 セィラの首に、銀剣を押し込む。銀剣と触れ合った肌が裂ける。血が白い肌を垂れてゆく。

 焔山は、叫んだ。あらん限りの、大声で。


「貴様ら! 聖女を見殺しにする気か! 音に聞こえたグノーシス中央聖教会の信仰心とはその程度のものであったか! 悔しかったら、結界を解け! 解かなければ、聖女を殺す。八つ裂きだ」


 焔山は、我ながら無茶な要求をしていると思った。一人の聖女の為に、悪魔払いの結界を解くとは正気の沙汰ではない。だが、勝算もあった。このセィラという少女の守護天使は、相当格が高いと見える。これほどの霊格を備えた守護天使を持つ聖女は、長く聖女を狩ってきた焔山も見たことがなかった。おそらく、地上で1、2を争うレベルの聖女だろう。その聖女を、むざむざと見殺すとも思えない。


(おそらく結界を解くはず。そして聖女の身柄を確保した上で、俺を殺しにかかるはず――)


 果たして、結界は開かれた。焔山が肌に感じていたひりつくような圧力が、消失する。セィラが、安堵の涙を流した。焔山の突然の凶行に、ずっとぶるっていたのだ。股が、濡れている。

 焔山は、セィラを連れて、白い、ハウス状の建物――東京ドーム15個分の土地面積――グノーシス中央聖教会に、足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ