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新たなる幕開けの予感

「ガン爺お帰り!”セラ”はどうなった?」


「坊主か。ちょっと待ってな…こいつぁ…最高の出来だ」


ガン爺がそこまで言うなんて…よっぽど上手く行ったのだろうか。


「これが…生まれ変わった”セラ”か…綺麗だな」


ー----------------------------------


断哭の赫龍剣セラ=レグルス=ラクリマ・・・赫龍とグラディアス=インフェリオの素材が共鳴し、新たな刀剣へと至った。赫龍の心臓は未だ衰えず、その高潔さを誇示している。グレードSS


【断哭の衝動】・・・戦闘中、体力が50%を下回った場合に強制発動する。敏捷、筋力に3倍の補正が掛かるが、知力が半減する。また、体力がいかなる場合でも回復することが出来なくなる。


【赫龍の心臓】・・・”致命攻撃”を受けた際、体力が0にならず、1残る。クールタイム3日。


《必要素材:熾哭龍剣セラ=レグルス=ラクリマ、断哭の羽刃、赫輝なる蒼核》


ー----------------------------------


【赫龍の心臓】が残ってくれたことは大きな成果だが…問題は【断哭の衝動】だな…。


一見すると効果が強力に見えるが…回復できないのは相当なデメリットだ。特に…強敵との闘いに置いて、回復出来ないとなると…一気に死の危険性が高まる。


「すげぇな…でも使いどころは考えなくちゃな」


そのあまりある性能とは裏腹に危険性は拭えない。汎用性が堕ちた代わりにピーキーな性能になったな。


「帳兄ぃ!」


「雫ちゃん!今日も相変わらず元気だね」


「帳兄ぃ…最近忙しそうだから…」


「ごめんね雫ちゃん。今日から少し時間があるから暫くは遊べるよ」


海外に行くまでの準備や手続きで暫くはここに居る。その間は雫ちゃんと一緒に過ごせるだろう。


「やったー!!帳兄ぃすき!」


うぅんきゃわいい!ここまで庇護欲が掻き立てられる事もないのでは無いだろうか。


(イグナリア…俺がダンジョンに潜っている間…この子と遊んでやってくれないか?)


(え?まあ良いけど…その子の事が大切なの?私より?)


(馬鹿なこと言ってんじゃねぇ)


「雫ちゃん…もし俺が居ない間に寂しかったらこの精霊さんが遊んでくれるって!」


「え!精霊さん!?どこどこ!?」


『ここよ!少女よ…私は精霊王(仮)よ!敬い讃えなさい!』


「うわぁ…精霊さんだ!帳兄ぃのお友達?」


『帳とは主従関係よ!彼は私のナイトなんだから!』


「何言ってんだ…。まあいいやそれで」


雫ちゃんが寂しく無いんだったらなんでも良いか。イグナリアと契約したことがここまで有用だとは思わなかった。もしかしたら本当に幸運を引き寄せる可能性もあるのかも知れない。


『そうでしょ!?私ってば完璧なんだから!』


この前ルナリアの前でぴーぴー泣いてたとは思えないが…まあそう言う所も可愛いもんだ。





「旧世界の遺物…世界の円環」


「ゲハルト、いつもいつも何を言ってるの?その独り言やめてよ」


毎日毎日誰も居ない場所でぶつぶつぶつぶつと喋って…。しかも内容が意味不明。いつからこうなってしまったのだろう?たしか…”時の迷宮”で行方不明になって以降だったか…。ゲハルトに一体何が起こったのだろう。


「時の円環…真理の果てに」


はぁ…言っても意味無いのよね…。でも…何故かそれ以降は迷宮に籠る様になってしまった。


しかも…滅茶苦茶強くなって…。


「ゲハルト…次はどのダンジョンに潜るの?」


私はゲハルトの幼馴染…それに専属の受付嬢だ。私だけはゲハルトを理解してげなくちゃいけない。


「次は…”海の涙”。この眼がそう言っている」


この眼…彼には何かが見えているのか。彼の眼は特に今までと変わっていない様に見えるが…何か変化があったのだろうか。


「”大海原”?なら…海蒼石が今高額で取引されてるわよ」


「そうか」


かるっ!!うぅぅぅ…もっとこう、何か無いの?ありがとうとかさ!


「直ぐに行くぞ」


こいつ…。





「”リィンカネーション”…彼の者達は生まれ変わった」


「またそれ?なんだっけ?”七王”だっけ?キミしかそんな事言ってないよ?虚言も程ほどにしてくれよ?」


「”蟲”…”屍”…”獣”…”悪魔”…”炎”…”龍”…そして”世界”」


「分からないって…それは何かのアニメでの設定?それともゲーム?」


「それに…世界は再び戦火の渦に巻き込まれる」


「あー!もうわっかんない!」


狂人に付き合うのは疲れる。


ダンジョンだって分からない事だらけだ。でももっとこう…人に伝える為の努力ってものがあると思うんだ。


「大丈夫さ…キミは僕が護るから」


きゅん...。


「ふぅん…?じゃ、じゃあ頼りにしてるから」


こういう所は昔から変わってない。ま、スラム育ちの僕たちがここまで来れたのはキミのおかげだけどさ。


昔から生きるためにお互い支え合ってきた仲だ。これからもずっと二人でこの世界を生きて行くと決めたんだ。頼りにしてるよ。





「【運命の輪】、【節制】、【恋人】…今確認が出来る”超人”はこの三人か」


「はい。それぞれアメリカ、フランス、中国のシーカーです」


そうか。日本ではまだ確認されていない特別な称号を持ったシーカー…またの名を”超人”。


この三人は大アルカナの名を冠する称号を持っている。能力は不明、ただ…ランキングの理外に居る事は解っている。ランキングの評価方法なんて協会が勝手につけたものに過ぎない。


「日本でも出てくれるなら交渉のカードに使えるが…まだ出ないか」


”超人”の有無が今後世界の均衡を崩していくだろう。ならば…早めに超人の卵を育てるフェーズに入らなければならない。


「ですが…所得条件も不明、それに大アルカナだけでなく、様々な称号があるみたいですね」


厄介なのがそこだ。大アルカナだけじゃない。それこそ…今だ確認されていない強力な称号、スキルを持ったシーカーも居るだろう。


果たして…これからの力の均衡がどうなってしまうのか…考えるだけで憂鬱になってしまうな…。


「イギリスに新たに出現したダンジョン…”背徳の教会”で新たなネームドボスが確認されたみたいです」


「詳細を」


「先日ロンドンに現れた高難度ダンジョン”背徳の教会”…その最深部には”背徳のベルガドール”と言うネームドが居たみたいです」


なるほどな。日本の精鋭たちを送り込んで攻略させるか…。だが、日本のダンジョンの現状がな…。


「今回は見送ろう。今は日本のイレギュラーが最優先だ」


「分かりました。では引き続きイレギュラーの調査を行ってまいります」

世界にも主人公みたいな奴らが沢山います。

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