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ライセンス更新

「帳さん待ちましたか…っ!」


今日はライセンス更新の為に東京に向かう日だ。


「今来たとこですよ!いやぁ…私服姿も新鮮で良いですねぇ…」


「あ、ありがとうございます…。今回のライセンス更新は重要事項があるみたいなので…少し要注意かも知れません」


へ~。正直唯利さんと一緒に東京に行けるだけでなんでもできる気がする 


去年は一人虚しく東京でライセンス講習だった。正直聞かなくていい内容ばっかだったが…今回は重要事項があるのか。レアモンスターの異常発生とかについてか?高難度ダンジョンで頻発しているという謎の大量発生。


「やっぱ高難度ダンジョンでの大量発生とかですか…?」


「分かりません…それも考えられますね」


取り敢えず…講習を受けてみない事には分からないか。


唯利さんも受付嬢の色々な講習があるらしい。俺も唯利さんもライセンスを取った時期が同じなので更新時期が被っている。受付嬢とシーカーでまた違うが…講習内容は似たようなものだ。


「それでは行きましょうか。ここからだと大体一時間程度ですね」


よしっ!この数日間名一杯楽しむぞ!


そんなこんなで唯利さんとの東京デート(自分で思っているだけ)が始まったのだった。



「懐かしいですね~確かあのビルの前で帳さんがうろうろしてたんでしたっけ」


「わ、忘れてください…あれは田舎暮らしには難しかったんですよ」


去年の今頃…初めて東京に来た時にシーカー協会の前でどこに行けばいいのか分からずあたふたしていた時だ。あの時初めて唯利さんに話しかけられたんだよな…。今思えばそれが俺の起点と言うか…シーカーで成功してやるって思った時だな。一年もくすぶってたけど。


「あの時のあたふたしてた帳さんは少し面白かったですよ…ふふっ!」


思い出し笑いで噴き出す唯利さん。ま、まあ笑ってくれるなら…良いかな?


「やっぱ新人のシーカーとか受付嬢も多いですね…今日は」


去年の自分と同じような人たちが多い。シーカーは人気だが…その分辞める人も多い。それはダンジョン内で死んだり、戦えなくなったり様々だ。


「去年からまた増えたみたいです。確か…二倍くらい増えたとか」


マジか…。年々増えているのは知っていたが、二倍は凄いな…。絶対数が少ない分増える一方なのは分かるが…。これから凄い力を持った新人も出てくるだろう。ダンジョン探索は運の要素が多い。俺もその一人だしな。


「唯利さんお腹空いてませんか?良かったらどこかでご飯食べましょう」


「確かに…もうこんな時間ですか…。お言葉に甘えさせていただきますね」


そんな訳で唯利さんと食事を取ることになった。



「うわぁ…素敵な雰囲気です…」


この日の為にこの周辺で雰囲気の良い店を探した甲斐があった。正直お嬢様の唯利さんに響くか怪しかったが…雰囲気は良さげだ。


「ここのフレンチトーストが人気みたいです」


周りを見たら女子高生や、ちょっと意識高めの女子ばかりだ。味が良いのかどうかは知らないが…女子からの人気は高いみたいだな。


「おいおっさん!頼んだのまだ来ねぇんだけど!?」


突如室内に怒声が響き渡る。


「お、お待たせしました…!」


店員が慌てて注文を運ぶ。怒鳴ったのは見るからにガラの悪い男。場違いな雰囲気の服装に、イライラを隠そうともしない態度。連れの男たちも何処かにやにやしたいやらしい視線を向けている。


所謂クレーマー見たいなものだろう。下の相手を見下す奴は少なくない。横柄な態度を取るのは自分が社会的に上だと思っているからだ。


だがここで変に割り入って争いになるのも避けたい。だが...せっかく唯利さんとの食事なのに…少し残念だ。


「帳さん…ここは静観が正しいです」


俺のイラついた表情を見て取ったのか、唯利さんが言う。勿論、手は出さない。シーカー同士の喧嘩はご法度。一般人に手を出せばその時点で豚箱行きだ。


「分かってます。でも…気分は良く無いですね…」


どうしようもない事。法律で定められている以上俺にはどうする事も出来ない。


「なんだよお前?文句あんのか?」


俺が見ている事に気が付いたのか、デカい声を張り上げて詰め寄ってくる。


こいつ…シーカーか。


ー---------------------------------


佐藤啓二 lv 72  25歳


身体強化lv4、硬化lv3、斧術lv5


ー---------------------------------


うぅん…あまり強く無いな。もしかしたらステータスが凄く高いタイプかも知れない。


「いいや…声がデカいと思っただけだ。何か気に障ったか?」


「あぁん?お前…シーカーだろ?格上に喧嘩売って良いとでも思ってんのか?」


格上ね…。まあそれで良いか。


「別に喧嘩は売って無いだろ?」


血気盛んな奴だ。どんな人生を歩んだらこんな好戦的になれるんだ。


「お前…去年ほぼ最下位の成績だった奴じゃねぇか!なんでこんなとこに居んだよ!」


嘲笑される。どっかで会った事があるのか…向こうは俺の事を知っているらしい。だが、生憎俺はこいつの事を知らない。


確かに去年は最下位の成績だったが…何故それを知っている?こいつも去年ライセンス所得に来ていたのか?


「そんな雑魚を覚えてるなんて良い奴なんだな、ありがとう」


「お前ふざけてんの?明日の講習…覚えとけよ」


ここで事を起こすのは向こうからしても都合が悪いらしい。明日の試験はもしかしたら1対1の模擬戦でもあるのかも知れないな。


今や店の雰囲気は最悪。楽しそうに笑っていた女子高生たちも静かに提供された料理を頬張っている。


「ごめんなさい唯利さん」


「謝る必要なんて無いですよ。こういった事はシーカーになるとよくある事らしいので」


シーカーになり生半可に力を得たせいで自分が特別だと思ってしまう奴はやはり少なからず居る。


そう言う奴らが多くならない様にライセンス更新の際に講習があるのだが…そう言う奴らは何を言っても無駄って事だな。


楽しい雰囲気だった食事が一気に最悪になった。こいつだけは許せねぇ!明日の模擬戦で当たったらぼっこぼこにしてやる。

シーカー同士の戦いも今後は予定しています!

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