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【忘れられた王の墓Ⅴ】

「はぁっ...はぁっ...」


”セラ”のおかげで何とか耐える事が出来た。…いや、耐えてはいない。既に保険が切れたのだ。


ここからはあの攻撃は自力で避けるしかないみたいだ。


「性能が…違う…っ」


《デス=ザ=リーパー》も充分強敵だった。しかし…こいつはそんな《デス=ザ=リーパー》とは性能が明らかに違った。


「”””【王剣】”””」


容赦がない。《デス=ザ=リーパー》の時みたいな”ターン制”では無い。一方的な蹂躙。技のぶつかりあいなんか必要ないとでも言うように、俺を殺しに来ている。


「【月輝盾花ルミナス・イージス】最大出力…っ!一点に集中させろ!」


至近距離から放たれる白銀の一閃。さっきみたいに離れた所からでは無い。超至近距離からの一閃。ほぼ不可避と言っても過言では無いだろう。


眼の前に咲き乱れる銀月の花弁が儚く散っていく。その勢いを止めることなく。


「嘘だろ…っ!?」


防御不可の一撃は障壁なんか物ともしない。まるでそこに何も無かったかの様に突き進む。


「避けろぉぉおおおおおお!!!!」


それは只の祈り。俺に今できる事は自分の回避行動が間に合うのを祈るだけ。


『危ないっ!帳っ!!!』


「イグナリアっ!?」


イグナリアの【炎】が《ヴァルディス》を包み込む。


「”””視界不良…中断シマス…対応シマシタ”””」


「ナイスだイグナリア!!」


『あ、危なかった』


イグナリアが居なかったら俺は今死んでいた。だが、それを実感している暇はない。


今は【王剣】の対策を考えなければいけない。


「”””排除ヲ続行シマス”””」


防御不可の攻撃。俺の【月輝盾花ルミナス・イージス】では対応できない。


今は【熾哭の誓約】が発動している。だが、”セラ”の”赫”は溜まっていない。

”セラ”が次の段階に行くためには”赫”を貯めなければならない。


「【ルナティック・アイ】発動…視界展開」


俺の世界から色が無くなる。…だがそこにある森羅万象が俺の眼に映り始める。


「お前の核は…その”剣”か」


コイツの本体は”剣”だ。剣自体が核のアーティファクト。


「”””【王剣】”””」


そして来る白銀の一太刀。


「切り開く…視界展開…【エルドラドの瞳】!!」


本来ならば使えない。だから…無理やりこじ開ける。耐えろよ俺。

【光輝の欠片】を取り出し自身と共鳴させる。


「【光輝共鳴オウリス・リンク】!!!」


世界が黄金に包まれる。月の光を塗り変えるように…黄金が俺の身体を、世界を飲み込んだ。


『これは…まさか』


「視界複数展開」


左目が【月輝】に輝き、右目が【光輝】に輝く。これは賭けだった。俺の【光輪】は破損して使えない。【エルドラドの瞳】もあれ以降封印されていた。だから賭けだった。


俺の身体に黄金の紋様が浮かび始める。だが、【月輝】の輝きが失われる事は無かった。

共存している…俺の【光輝共鳴】と【月輝共鳴】が。


「視えた…っ!!」


──”月と太陽”が並び立つ時、世界の理は一時、帳の瞳に集約される。


【ルナティック・アイ】と【エルドラドの瞳】、二つの真理の眼。


──視界展開:0.9秒先

──選択肢:

・回避成功率 8%

・防御成功率 0%


俺の瞳に0.9秒後の世界が映る。ここから回避するには少し遅いが、やらなければ”死ぬ”


「十分だ」


完全に避ける必要は無い。生きてさえいれば…どうにでもなるっ!!


「うおぉぉぉおおおおおおお!!!」


迫りくる純白の輝きは、正面からの防御を許さない。

回避成功率8%。それは普通なら”絶望”と呼ぶに相応しい確率。

だが俺にとっては、”可能性”に過ぎない。未来は自分で切り開くもの…こんな所で終わって堪るかよ!


右足に力を込め、後方に跳躍──

………ではなく、あえて半歩、前に踏み出す。


この刹那でとれる最大の回避行動。奴の【王剣】が、確かにブレた。

そして…俺の背後に旋風が巻き起こった。


だが…未来は掴みとった。


ならば…このまま切り開いていく。行くぜ”セラ”…ついて来いよ?

相手は目の前だ。心置きなくお前をぶっ放せる。


「ドゥオラァぁぁ!!!」


咆哮と共に、"赫"の魔力をまとった【熾哭龍剣セラ=レグルス=ラクリマ】がうねるように舞う。

一閃──二閃──音速を超える連撃。軌跡を描くその斬撃は、もはや剣というよりも“赫龍の咆哮”。


だが《ヴァルディス》は微動だにせず、ただ静かに言葉を紡ぐ。


「”””【王盾】──起動”””」


瞬間──銀光が重なる。セラの持つ灼銀と【王盾】の放つ白銀の魔力。

そして…重厚な魔力障壁が、《ヴァルディス》の前に展開される。

それはただの盾ではない。刃全てを防ぎきる絶対の障壁。


「だが…都合が良いぜ…っ!!これで”赫”が貯め放題だ」


攻撃する度に”赫”が蓄積する性質上、壊れない障壁は都合がいい。

お前の【王盾】せいぜい利用させて貰うぜ。


振り下ろされるは、《熾哭龍剣セラ=レグルス=ラクリマ》──

”赫”の魔力を帯びた、”灼き哭く赫龍”の一撃。その斬撃が、真正面から【王盾】に叩き込まれる。


ズゥンッ!!


衝突の瞬間、空気が爆ぜ、地が波打つ。

”赫”の剣閃は王盾の前に激突し、爆雷のような衝撃を周囲に放つ。


「まだだ…もっと”赫”をッ!!」


斬撃が連撃へと変わる。

一太刀、二太刀、三太刀──徐々にその剣閃の速さが上がっていく。


だが…【王盾】に傷一つ付かない。

その時間を見逃す相手ではない。【王盾】に護られながら、【王剣】を起動させる。


「次か…っ!」


「”””【王剣】”””」


起動された【王剣】が瞬く間に輝きを増していく。…また来る。


「視界再展開!全てを見せろ!!」


──視界再展開:2.6秒先

──選択肢:

・回避成功率 76%

・防御成功率 0%


良し。問題なく避ける事が出来る。


「左からなんだろ?”知ってるぜ”」


左から飛んでくる銀閃。だが、未来で見た軌道と全く同じだ。

なら避けることは難しくない。

飛んでくる斬撃に対して跳躍して避ける。


『ダメ!!』


なんだとっ!?


“斬撃は既に終わった”はずだった。


だが──


「”””【空蝉】”””」

空蝉うつせみです。

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