新しい相棒
この町で過ごして数日。そろそろ新しいダンジョンに潜ろう。ガン爺から連絡で武器が出来たって来たし…もうダンジョンに潜っても問題ないだろう。
「唯利さん次は”森”に行こうと思います」
「おっ!やっぱダンジョンで採れる“森霊の石清水”ですか?」
そう。それがあらゆるポーションの核となる水。買取も大幅強化されてるみたいだし。行ってみるのも悪くないだろう。【光輪】が使えない状態で進化したネームドなんかと戦いたくないしな。
「はい。まあ”森”は調合素材の宝庫ですし、そろそろ自分でポーションを作れた方が良いのかなと」
「それも大事ですよね。解りました!登録しておきます」
そう言って奥に入って行った。そう言えばランキングとか上がってんのかな。
前まで下から数えてすぐの所に位置してたランキング。
ダンジョン攻略や持ち帰った素材のレア度なんかで変動する。
「いや…ヤバい奴は隠してるからそんな上がって無さそうだな」
”火山”も結局クリアはしていない。今回はランキングは視ないで良いか。
「うしっ!次なる目標は”森”だ!」
ガン爺の所に行くか。楽しみだ。どんな武器が新しく俺の相棒になってくれるか。
。
「ガン爺!武器見せてくれー!」
工房に顔を出す。
「おう、坊主。武器なら出来てるぜって言いたい所だが…あの龍王の素材はまだ無理だった」
まあそうだよな。多分素材にハンマーの方が耐えられないだろ。それは想定済みだ。だからこそ色々な素材も一緒に渡した。
「ほれ、お前の持ってきた”種火”は想像以上の質だった」
未だに燃え続ける炉。消える事が無いと思わせるほどに燦燦と燃え続けている。
「なら良かったよ。次はガン爺のハンマー強化の旅だな」
「申しわけないな。俺の腕不足で」
そんな訳がない。腕の問題でどうにかなる話では無いのだから。
ガン爺の腕は俺が一番信頼している。だからこそ俺の持ってきた素材を素直に託すことが出来るのだから。
「それと武器はこれだ」
ガン爺が取り出した武器。俺の預けた結晶化した龍の素材を使った剣。
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《熾哭龍剣セラ=レグルス=ラクリマ》・・・伝説の赫龍の遺骸と火山の秘宝を融合し、龍の魂の“哭き”と熾き火を宿した龍剣。グレードSS
スキル一覧
【熾哭の誓約】・・・戦闘中、体力が50%以下になると自動的に剣身が赫く輝き、攻撃力と敏捷が20%上昇。
【赫龍の慟哭】・・・-攻撃のたびに“赫”を蓄積。”赫”が最大まで溜まった状態になると龍剣が一段階上昇する。
【赫龍の心臓】・・・”致命攻撃”を受けた際、体力が0にならず、1残る。クールタイム3日。
《必要素材:灼涙晶、火山の結晶、紅蓮精晶、紅蓮の爪鋼、焔晶竜核》
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はい、ぶっ壊れですと。え?こんな装備が許されて良いんですか?あの死んでた龍何もんだよマジで。
にしても…リヴァイブと言うか…一回の致命的な攻撃を受けても大丈夫なのは凄いな…。クールタイムは長いが…そんな事気にならない位の壊れスキル。【赫龍の心臓】か…焔晶竜核を素材にしたことで得たスキルか?
その仮定が正しいとして…もしかして使う素材によって付くスキルが変わる…?
例えば焔晶竜核を使わずに剣を作った場合はどうなるって話だ。勿論素材が変わる分性能とかも変わるのは解るが…スキルはもしかしたら素材依存の可能性が出て来た。
「が、ガン爺…これヤバくない?」
「知らん。俺は最高の鍛冶をするまでだ」
か、かっけぇっ!かっこいいっす!ガン爺様!
「質問なんだけどさ、素材によって打てる装備が変わるのは解るんだけど…装備に付くスキルって素材依存?」
「あぁ...それな、分からん。ただ、グレードが高いとその素材特有のスキルが付く確率は高いな」
なるほど…もしかしたら素材にはもともとスキルがあるんだ。それを加工する際にスキルが失われるが…グレードが高いとそのままスキルとして付く可能性があると。
これは割と…新発見か?いや、鍛冶に疎い俺が言うのもなんだが…初めて知った。
もしかしたら世間では常識の可能性があるにはあるが…。
ともかく…とんでもない武器は手に入った。当分武器に困ることは無いだろう。いや一生困らなそうな位の武器だ。
「ガン爺これ魔改造できる?一応隠ぺいと言うか…ステルス能力のあるマントなんだけど」
夜より深い暗闇のローブ、《ミゼリア=ナハト》を取り出す。気配すらも遮断してくれるからダンジョン探索、なんなら日常生活でも役立つだろう。
「むっ…これは…形を変えるくらいなら出来るが…性能を変えるのは無理だな」
無理か…。流石に贅沢だったな。このままでも十分馬鹿みたいな性能してるんだ。
「おっけ。ありがとうガン爺!口座にお金入れとくから!」
俺はもう稼げる。今まで見たいにガン爺に甘えるのはもう止めだ。
ちょっと短いので夜また投稿します