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隠しフロアが現れた!?  作者: 働きバッタ
15/21

採掘

「おぉ…綺麗じゃねぇか」


鉱石が多く露出している場所まで来た。ここで採れる鉱石がこのダンジョンの真の価値と呼ばれる所以だと言う。


人気なのか周囲にはシーカーが数人だがいる。ここに来るまでにシーカーと出会ってなかった為、人気ダンジョンと言うことを忘れてしまってたな。


「ピッケルも売ってんだな。ありがたい…」


ピッケルは準備必須な為持ってきてはいるが…もしここに来るまでに紛失していたとしても保険があるみたいだ。


「お兄さん、一人なんですか?」


「うん?あぁ…そうだよ」


女性数人のシーカーグループに声を掛けられる。女性でもシーカーは人気だ。女性同士でパーティーを組むことが多いため、こういう暑苦しい場所はには余り来ない印象があったが…そうでもないらしい。


「大変そうですね…私たちはチームを組んでますが…お兄さんも一緒に来ます?」


お兄さんと言われる程の年齢でも無いが…まあいいや。


ここは丁重に断っておこう。特段一人で困っている事もない。寧ろこの力を見られる事の方が不利益になりかねん。


「誘いはありがたいけど、遠慮しておくよ。一応ソロのつもりだからね」


シーカーでチームを組むのは効率の面でも安全の面でもごく普通の事だ。だが、一応デメリットもある。レアドロップや宝箱などから出たレアアイテムの分配問題だ。そういういざこざが面倒くさいと言うのもあって俺は基本的にソロで行動している。


「そう...でも気を付けてくださいね」


「ありがとうございます。お互い生きて帰りましょう」


そう言ってその場を後にする。


今はここにある鉱石を採掘するのが優先だ。ガン爺から頼まれた事だしな。


”火山の結晶”自体はもっと深い階層にしか出現しないらしいが、一応この階層で採れる鉱石も採っておきたい。


「お、これなんか良さげじゃないか」


ー----------------------------------


焦石・・・仄かに熱を帯びる鉱石。柔らかく脆いため装備に用いるのには適さない。レア度3


紅輝石・・・赤く輝く宝石の原石。炎の魔力を微弱だが有している。アクセサリーに向いた宝石。レア度4


ー----------------------------------


レア度自体は高く無いが、いずれ何かに使う時も来るだろう。採っておいて損はない。売ればお金にだってなる。


アクセサリーか…雫ちゃんとか唯利さんにプレゼントするってのも良いな。いつもお世話になってるし。


うおぉぉぉ!!!燃えて来た!決まった!プレゼント用に色々と鉱石を採取しておこう!



「うぅ...次の階層ボスも蟲型なのぉ!?もういやよ…蟻ばかりだったし…」


チームメンバーの一人が弱音を漏らす。


「仕方ないじゃない。でも次の階層を抜ければ地底湖フロアだから…我慢して?ね?」


リーダーが諭すように言う。ここまで来たんだ。もっと深く潜って稼いでおきたい。このまま帰っるのは勿体ないって皆感じている。


「でも前のフロアも蟻…少なかったよね?誰かが先に殲滅してくれてたのかも...」


「そんな不確定なものに頼ってちゃだめよ!私たちで討伐しなきゃ意味無いんだから」


ドロップアイテムもそう。一杯討伐して一杯アイテムを持ち帰る。それがシーカーの基本だ。

だからお金を貯めてみんなでマジックポーチを買った。金銭効率を良くするために。


「でもでも…蟲って気持ち悪いよぉ!?」


それは皆思っている。だけどお金には代えられない。あんな蟲けらでも素材一つでそこそこのお金にはなる。


それに…


「最悪フロアボスだけ倒せばいいの!さ、弱音ばっか言ってないで行くわよ!」


「リーダーぁ!」


いやいやながらも皆ついてくる。言葉では否定してもお金は欲しいのだ。それにレベルが上がればその分強いダンジョンにだって潜れる。良い事の方が多いのだ。


「次の目標は20階層のフロアボス!ムズラグ=ヴァルよ!!」


ムズラグ=ヴァルはムカデ型のモンスター。その凶暴さはこのダンジョンでも随一とされる。だが、私たちなら出来るわ。


「頑張ろうねもみじちゃん!」


幼馴染のアルマだ。ふとした事がきっかけで二人でシーカーを目指したんだった。


それからは二人でダンジョン探索を始め、今では私たちは少し大きいチームに成れた。それもアルマのおかげだ。アルマは珍しい回復魔法のスキルを持つ。アルマが居なければ私たちはこのダンジョンにも来れなかっただろう。


「アルマ…うん!皆もアルマが居るから大丈夫だよ!」


大丈夫よね。私たちなら!

そんなチームのリーダーの楽観的な考えは儚くも砕け散ることをまだ誰も知る由は無かった。


”絶望”が今動き出したのだ。





「まだ蟲フロアは続くんだな」


目の前に見えるはムカデ、蟻などの甲虫モンスター。


「ムカデの素材はまだ貰ってない。少し狩っておくか」


拳に【光輝】の魔力を籠める。右腕だけ金色の紋様が浮かび上がる。


「吹っ飛べ!【光輝の斬輪】!!」


拳を地面にめり込ませる。そこから流れるは光り輝く魔力。

蟲たちの周囲に輝く円陣が浮かび上がる。二重、三重に…。


そこからは正に蹂躙。

その浮かび上がった円陣に触れたものが悉く切り刻まれる。

数秒後には目に写る全てのモンスターが光の粒子となっていたのだった。


「ふぅむ…レアドロップは無かったが…このムカデのドロップアイテム、蟻と同じじゃねぇか!」


焦熱の甲殻が滅茶苦茶手に入った。レアドロップの枠も同じだったら少しやるせないな。

ま、既に色々手に入って十分っちゃ十分なんだけどさ。


「それに…このダンジョンはまだ隠しフロアが見つかって無いしな」


このダンジョンの隠しフロアを発見した暁にはそれはもう狂喜乱舞して生き生きと攻略するだろう。勝てるかどうかは分かんねぇけど。


「かぁっ!!隠しフロア…俺の前に現れてくれぇ!」


帳の嘆きが16階層に響き渡るのだった。



「お、この紅輝石ちょっと純度が高そうだ」


レア度とグレードの違い、なんとなく分かったな。レア度だけじゃ純度なんかは考慮されていない。だからグレードがあるんだな。


感覚的理解は重要だ。これから特に重要になってくるだろう。


「次はカマキリか」


カマキリって確か…収斂進化っていう奴の代表みたいな奴らしいな。別の生物でもその姿かたちに似たものに成る。一つの進化の終着点みたいなもの。


ー----------------------------------


焔斬蟷螂えんざんとうろう lv 155 ・・・火山環境に適応し、両腕が“灼熱の刃”に変異したカマキリ型のモンスター。その鎌の切れ味はまるで死神のごとく。”火山”では滅多に出会えない。


ー----------------------------------


へぇ…。元は火山地帯に居るモンスターって訳でも無さそうだな。火山に適応した姿が今目の前にいるモンスターって訳か。でもレアモンスターって奴か。


にしては…


「目の前カマキリばっかだけど!?」


え?レアじゃ無かったの?繁殖期?いずれにしても殲滅するのみ。


「弾けな【光輝の斬輪】」


見慣れた光景。黄金に輝く円陣が周囲に展開される。だが…


「何?何故触れない?」


今までの蟻たちはこの円陣に躊躇いなく触れて散っていった。

だが、このカマキリは違う。まるで何かを恐れるかのように…この円陣には近づこうとしない。

もしかしてこの円陣が自分たちにとって危険なものだと認識しているのか。だとしたら…少し厄介だ。


「キシ…キシ」


「まあ動かないってんなら一体一体殺すまでよ」


【身体強化煌】を発動させる。身体に浮かび上がる金色の紋様。【光輝】の魔力が全身を駆け巡る。溢れ出る力が俺を高揚させる。

拳一つ。されどその拳は並みの武器すら凌駕する。それはステータスの暴力と【身体強化】による産物だ。


が、俺の思っていた想定とはかけ離れた自体が起こった。


「なっ!?逃げるだと...?」


モンスターにあるまじき行為。初めて見たな。


やはり知性があるか…。なんだこの違和感…。レアモンスターであるカマキリの大量発生。それに…この異常な怯え方。一体何が起こっている?


胸中に渦巻く不安がどんどんと広がっていく。


もう目前の敵は全て逃げ去った。モンスターにあるまじき逃亡。それにレアモンスターの大量発生。良くないことが起こっている前兆だと俺の勘が全力で警鐘を鳴らす。

カマキリってかっこいいんですよ

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