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蟲!蟲!蟲!

「なんか…弱いなぁ」


それは仕方ない話である。あんな化け物と出会ってしまったら弱く感じるのは当然だ。


このダンジョンのボスの”火山”グランドトータスですらレベルは300程だと聞く。


そんな中レベル620は化け物のそれだ。現在確認されている最大レベルを把握していないが…620は最上位クラスじゃないか?


「いやぁ光輝の欠片を使うのはやめよう」


灼炎鳥でこうなっちまうんだろ?もっと強い奴に使ったらそれこそ終わりだろ。


なんて考えている内に”10階層”まで来た。


ここからまた敵が変わる。


「ここは蟲モンスターが多そうだ」


ー----------------------------------


焦熱蟻 lv97 焦熱の中すら難なく生活する蟻。群れで行動する。


ー----------------------------------


無数の鋭い脚音が響く。視界に映ったのは、地を這い、壁を駆け、天井から落ちてくる…無数の赤黒い蟻。


一匹一匹の大きさは人間の膝ほどもあるが、問題は数だった。数十匹、いや――百を超えている。


焦熱蟻の群れが、俺を中心に円を描くように展開していた。


「囲まれた……!」


即座に剣を構える。だが、足元の岩が赤熱するように熱を帯び始める。


地面に設置された複数の蟻が、同時に地熱を吸収し魔力を放出した。空気が波打つ。灼傷やけどのような熱が、全身を舐める。


《身体強化》を即座に展開。動きを鈍らせぬよう全神経を集中させる。


――襲来。


先頭の焦熱蟻が跳躍。灼熱の顎が帳の肩に食いつこうと迫る。


「遅い!」


剣閃。刃が焦熱蟻の頭部を断ち斬る。焦熱の体液が蒸発し、赤黒い霧が立ち込める。


だが、焦熱蟻は仲間が死のうが、こちらに向かい突撃してくる。やはり恐怖が無いと言うのは強いな。


「この数を一気に相手にするのは骨が折れそうだ…」


試すか…レベルが上がった事で新しく出来そうな技。あの共鳴時に感じた自身の魔力の変化。


広域殲滅スキル。こういった個で戦わない群れるモンスターに有効な殲滅スキル。


剣をゆっくりと地面に突き刺した。

その瞬間、足元から、黄金の光が波紋のように拡がっていく。


「【光輝の斬輪】」


瞬間――視界が、輝いた。


剣を中心に、黄金の斬撃が輪となって爆ぜる。

それは地面を奔り、同心円状に三重、放射するように周囲へ広がっていく。


焦熱蟻の一群が、その輪に触れた。


ザッ! ザザザッ!


一閃――二閃――三閃――。その円に蟻が踏み込んだ瞬間に黄金の光が爆ぜた。


脚部が焼き切られ、腹部を裂かれ、内臓が蒸発。頭部が斬れ、体全体が粒子となって空中へ消えていく。


「想像以上だな…」


だが、モーションを必要とすること、消費魔力が多い事が課題だな。だが、こういった大軍を相手にするには破格のスキルだ。


ー----------------------------------


【光輝の斬輪】・・・光輝共鳴により得た【光輝】の魔力を解放する。この円に触れたものはその魔力の斬撃に成す術無いだろう。


ー----------------------------------


あの共鳴の中俺の体に浮かび上がった黄金の紋様。それが多分だが【光輝】の魔力を生成しているのだと思う。


勿論消費魔力が馬鹿にならない事はそうなんだが…それを考慮しても破格の性能か。


周辺一帯の焦熱蟻は俺の構築した円により死滅していた。


ー----------------------------------

焦熱の甲殻、蟻焔結晶

ー----------------------------------


蟻焔結晶がレアドロップ枠だな。取り敢えずドロップ品は光輝なる袋にすべてしまって先に急ごう。



この階層は蟻くらいしか居ないのか。歩けど歩けど蟻の群ればかりだった。


全てを相手にしているとキリが無いため途中からは討伐していない。


──その時だった。


「なんか聞こえるな…何の音だ?」


ザクッ……。


遠くで、妙に重たい音がした。


踏み潰すような音ではない。肉と骨を砕く音――それに、何かを「食む」音。


反射的に【身体強化】を発動し音の方向に視線を向けた。


「……あれは、焦熱蟻……?」


赤黒く染まった甲殻、焦熱蟻の倍近くある体躯。


だが最も異様だったのは、その口。


人の頭ほどのサイズの顎を開き、焦熱蟻の死骸にむしゃぶりついていた。


バリバリバリバリバリ……ッ。


焦熱蟻の硬質な外殻を、飢えた獣のように食い砕く音が響いた。


「仲間を……喰ってる……?」


思わず声が漏れる。


捕食していた個体は、その言葉に呼応するように顔を上げる。


その目は、どこか黒く濁っており、普通の蟻には見られない――「知性」と「渇き」が宿っていた。


次の瞬間、蟻のようには思えない速さで地を這う。砂煙とともに、その巨体がこちらの方へ向き直る。


「……っ、まさか進化系……?」


確かに見た。焦熱蟻の体を喰らうたびに、赤黒い光がその体表に走る所を。


まるで、”喰えば喰うほど、強くなる”と言わんばかりに。


「お前……仲間を糧にして進化してるのか?」


はぐれ個体――否、もはや別種と言っていい。


だが、ちょうどそのとき――


その焦熱蟻がその顎を大きく開き、嘶くような金切り声を上げた。


「ギイィィィ……アアアァアアアア!!」


その咆哮は先ほどまでの焦熱蟻と別物であることをこれでもかと俺に突き付ける。


ー----------------------------------


灼喰蟻シャクショクギ lv 140 焦熱蟻の群れからはぐれた個体。その強さは焦熱蟻を捕食することで増していく。その体躯は赤黒く、どこか悍ましい。


ー----------------------------------


「おいおい、いきなりレベル上がりすぎだろ」


焦熱蟻から50近くレベルが上がっている。ここでギリギリの戦いをしているシーカーはこいつと出会ったら絶望するだろ。


「……これがただの道中に出るってのかよ。冗談だろ」


帳は剣を下段に構え、片足を引く。


その動きだけで、地面に走る亀裂。筋力5100×【身体強化Lv8】による膂力は既に人間の域を超えていた。


対する灼喰蟻も、膨張した腹を震わせながら顎を開く。


「キギィィィ……!!」


瞬間、赤黒い影が飛んだ。


まるで火薬を詰めた弾丸のような加速。砂を弾き、空気を裂いて、灼熱の斬撃が帳を襲う。


高速を超えた敏捷5800の反応が、帳の体を自然と動かす。


一歩、わずかにずらすだけで灼喰蟻の突撃を紙一重で回避。


「──そこだッ!」


上段から振り下ろされる斬撃。【剣術Lv10】の熟達が、その軌道を無駄なく描く。


──ギィィィン!!


だが、甲殻は並の刃を拒む。そして、パリィン…儚くプラチナソードが散っていく。


「なるほど。やっぱプラチナソードが耐えられないか……!」


蟻が咆哮を上げ、地を這うように動く。


再び突進。先ほどとは違う軌道──“進化してる”?


「こいつ、俺の動きを学んでるのか……!?」


……なら、拳でやるしかねぇな。捨てた柄が地面に転がり、代わりに拳が固く握られた。


【身体強化Lv8】を再展開。魔力が筋繊維に走る。

背筋が隆起し、拳が空を裂く風圧を帯びる。


「来いよ、虫ケラ」


焦熱蟻の群れが一斉に飛びかかる。


「オラァッ!!」


一閃。拳が振るわれた。

音速を超える衝撃が焦熱蟻の一匹を叩き潰し、その余波で背後の蟻まで吹き飛ぶ。


「ギィィイィイ!!」


残りの蟻が後退する間もなく、追撃の構え。

空中で回転しながら、膝蹴りが一体の顎を砕き、着地と同時に掌打が地面へと叩き込まれる。


──ズドォン!!


焦熱地帯が一時的に陥没。数体の焦熱蟻が地割れとともに転落する。


「ふぅ……次は……てめぇだな」


残ったのは《灼喰蟻》ただ一体。

それでもなお、眼に宿るのは殺意。顎をギチギチと開き、帳の全身を喰らわんと飛び込む。


「────遅ぇよッ!!」


帳の脚が地を爆ぜた。

高速突進。右拳を前へ突き出し、まるで突貫槍のように、《灼喰蟻》の側面へ。


ズドオォン!!


音が止まった。《灼喰蟻》の腹部、赤黒い肉と甲殻の隙間を、俺の拳が深々と穿っていた。


「────穿て!!」


赤黒い炎が空を裂き、焦熱の風が洞窟を包んだ。


そして……全てが沈黙する。


帳は、拳から流れる血を見ながら息を整える。

焦げた手の甲。切れた拳の皮。だが、顔には達成の笑みがあった。


「……素手でも、勝てるって証明してやったぜ」


焦熱と爆炎のなか、ひとりの男が、確かにそこに立っていた。


ー----------------------------------

焦熱の顎角、焦喰核

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ふむ…。武器を作る時に使えそうな素材だ。帰ったらガン爺に武器作って貰わないとな。

一応文の中でスキル名には【】を次からつけようと思うんですけど...称号と一緒なのでわかりずらかったら教えてください。

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