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『TRANSPORTER』 ーBehind the scene shotー Recounting【The tale of 魚住隆也 FEAT. 大隅綾音 】  作者: 詩野忍


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Season.One 車上班添乗編 Story.6 小学校の男の子とお母様

魚住隆也のオフショットです。後日談として、書き手は詩野忍、話し手は大隅綾音、が担当します。

よろしかったら最後までお付き合い下さりますようよろしくお願いいたします。

 「隆也さん、僕のお父さんになって下さい!」

 と小学校低学年の男の子からお願いされたって!

 本当にそんな話があるの?りゅうくん。

 あったんです。

 真剣な眼差しで純粋な心の中の気持ちをぶつけてくれました。


 初めはどのご家庭でも小学校のお子様が一人でお留守番されている時は、

 インターホンが鳴っても出ない、

 ドアのカギは絶対に開けない、

 がお約束ですよね。

 

一回目はその男の子もそうでした。

 時間を改めてお母様から在宅連絡を頂き当日お母様がお出になりお届けです。

 二回目は

「隆也さんならドアを開けてもいいよと母から言われたので荷物は僕が受け取ります」

 次回は16時以後に来て!

 と男の子からのお願いが。

 

いざ、別件でその日16時頃に新くんがお伺いすると、

 始めは男の子が出迎えてくれて同時に出た言葉が、

「ママ、新治さんが来たよ。はやくー!」

 いや、前回のように判を押すだけだからお母様を呼ぶまでもないよー!

 りゅうくん、冷や汗気味です。

「あら、新治さんいらっしゃい。上にあがって」

 

りゅうくんは、

 運転乗務員を外で待たせていますので、

 失礼ながら固辞をさせて下さい。

 と通常業務の対応です。

 男の子はつまらなそうで、がっかり顔。

おまけに仏頂面で、ぶっきらぼうに新くんへ質問です。

「ねえ。新治さんはもう結婚しているの?独身?」

「ママ綺麗でしょう。間違いないよ。お願い!ママと一緒になって!僕のパパになってよ!」


 そうだよなあ。新くん、

あたたかい家庭にずっとあこがれてたもんね。

男の子の気持がいたいほどわかるんだよなあ。


 数分の対応の中で新くんはその男の子をぎゅっと抱きしめて、

 りゅうくん

「ごめんね」

 男の子

「わかってる。でももう一回言わせて。やっぱり僕のお父さんになって下さい!」

 りゅうくんは男の子に綾音の写真を見せて、 

 りゅうくん

「この方が私の大切な人なのです」

 男の子は泣き出しちゃって。

お母様にもごめんなさい。です。


「がんばれ!男の子よ。お母様と仲良く大切にな。君が守ってあげなきゃ」


 それからすぐにりゅうくんは別の地区へ異動、男の子とお母様のその後の環境はわからず、三十年程経過しているから、男の子は新しい家族を持ちお母様には同居してもらい、かわいい孫ちゃんを見てもらいながら、男の子と男の子の奥様とともに仲良く幸せにしているのだろうなあ。きっと。そうあってほしいなあ。綾音もりゅうくんも思ってしまいます。


 みんな、がんばってるね!


 突然、りゅうくんが、『母』なる姿は本当はこうあるもの?ってつぶやく……。


こうある事が普通?

こうあるからこそ、母と子が絆として結びつく?

でもこれが当たり前?

私にはまったく想像ができなくて。

私の記憶にある『母』という存在は、真白の輪郭も無い白紙なのです。

ごめんね。綾音様。

だからあの時のあの男の子がうらやましくて。

かたちあるっていうことに。

いかがでした?よろしかったら御意見、御感想を、将来の糧として、書き手の詩野忍、話し手の大隅綾音、心よりお待ち申し上げます。本日はお寄り下さいましてありがとうございました。

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