表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『TRANSPORTER』 ーBehind the scene shotー Recounting【The tale of 魚住隆也 FEAT. 大隅綾音 】  作者: 詩野忍


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/14

Season.One 車上班添乗編 Story.3 お元気で!

魚住のオフショットです。後日談として、書き手は詩野忍、話し手は大隅綾音、が担当します。

よろしかったら最後までお付き合い下さりますようよろしくお願いいたします。

 りゅうくん?色々な方々の所へお届けにお伺いするとキレイな女性の方がいらして何かあったりするんじゃない?ねえ!ねえ?

 と、疑いの目を向けるとあっさり白状です。

「ドキドキする綺麗な方はたくさんいらっしゃいました」

「でも、綾音様ほどでも」

 本当に?

 綾音の写真を独身当時はいつも肌見放さず持ち歩いていたらしく。よしよし!です。

 浮気する気なし?だったよね?

「相互に危ない瞬間は何度もありました。特に夏は目のやりばに困ること多々で」


「ご飯今作ったから食べてかない?」

 と誘われたり。

 りゅうくんの声は少し高めの中性的。

「何々様、お届け物です!」

 声を掛けると、

 はーい!と返事されたと同時に出て来られた女性の方のお姿がバスタオル一枚で。

 りゅうくんはすかさずドアを閉め外へ、その方は奥に入られ普段着に着替えられ。 

 声を聞いた時、てっきり女性の乗務員の方だと思いつい。

「見苦しい姿を見せてしまいごめんなさい」

 と女性の方が。

 りゅうくん、

「私こそ不躾な振る舞いお許し下さい」

 でした。あれま!

 私、りゅうくんには今まで肩も見せたこともなかったから大丈夫だった?

 本当のこと、言ってみん!


「アンタ、かんころもち、食べれるか?」

 お届け先でそう声を掛けて下さったのは、

 80歳台のおばあちゃんでお一人でお暮らしでした。

 おばあちゃんの故郷の五島列島からの定期便で、かんころもちは特産品だと。

「もう歯がないからもらっておくれ」

 とおばあちゃん。

 それからりゅうくんとおばあちゃんとのお付き合いが始まりました。

 送って貰ったお返しは、どう送ったらいい?

 りゅうくんが代筆です。

 りゅうくんからは、お礼に名古屋のお菓子を。

 時間が少し空いた時は

「五島列島の話し聞かせて!」

 と話し相手になったり。  

 おばあちゃんは、

 周囲の方々に、新くんを息子のようなボーイフレンドができたよー!

 って嬉しそうに話されていたそうです。

 定期的に診療所へ受診しなければならず、

 徒歩で一時間はゆうにかかる道のり。

 を平気な顔をして

「アンタに会いたいから元気でおらんと」

 にこり。

 冬の寒い日

「ほれ、今日はぶりが届いたから三枚おろしにするで、夜時間空いたら食べにおいで」

 新くんは離任がせまり、

 御礼などの挨拶まわりでなかなか時間を割くことができず、

 おばあちゃんのお家に着いた時は22時30分過ぎ。

 そっと寄ってみると、

 縁側の引き戸がいつでも部屋に上がれるよう半分開いたまま、

 こたつに入ってテーブルに寄り添ってすやすや。

 そらゃあそうだよね。それに寒かっただろうに。

 テーブルには手つかずのお刺身が。

 ごめんね。遅くなり。

 新くんは、おばあちゃんの肩にそっと近くにあった毛布をかけ、

 引き戸を閉め、

 いままでのおこころざしに感謝の手紙と離任の挨拶を添えて。

 おやすみなさい。


 数ヶ月後、おばあちゃんのエリアの店から、

 この時間までにおばあちゃんの家に来れたら、

 より必ず来てほしいとの強い要望です。

 詳細を聞かず向かったものの、でも嫌な予感。

 おばあちゃんの家に到着です。 

 白い絹に包まれた箱を持った方が

「母が大変お世話になりました」

 ご親族は、

 あなた様にお会いし生きるって楽しいんだって連絡するたびに話し、

 そんなあなた様にいつかお会いできれば。

 でも、こんな形に。

 でも最後にこんな形でお会いできたことに母は大変喜んでいると思います。と。

「多忙な方とお聞きしました。貴重な時間を割いてお越し下さりありがとうございました」

 新くんとおばあちゃん。この日が最後のお別れとなりました。


「お元気で!」


いかがでした?よろしかったら御意見、御感想を、将来の糧として、書き手の詩野忍、話し手の大隅綾音、心よりお待ち申し上げます。本日はお寄り下さいましてありがとうございました。

あったか!ほっこり!でがんばります。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ