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【完結】3年ぶりに目覚めたら、いきなり溺愛始まりました!?  作者: らしか


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第二十六話

『ジェフリーがそう決めたのでしたら、私が反対する筋合いはありませんよ。実際、ノーランとステラが向かうことは難しいですよね?』


「はい、2人はこの国の頂点に限りなく近い存在ですから」


国王夫妻の次に、この国で権力と地位を持つ人間だ。世界的に見ても、10本の指に入ることは間違いない。そんな人間が命の危険を犯すことなど、普通は認められない。


『人間の制度は面倒でよく分かりませんが、今回はジェフリーが適任ということですね』


「…分かりました。今回は我々が引きます」

「でも、ジェフとリアの安全性を少しでも上げるためにできることがあるのなら、それは私たちにやらせてくだいね」


ノーランとステラは若干不満そうだった。一方で自分たちの立場もよく理解しているため、渋々引き下がるという決断をせざるを得ない。


『安全性を上げる方法はいくつかありますが、1番効果的だと思われるのは繋がりを強めるものを近くに置いておくことです。今回の場合は、フェリシアと人間界、ジェフリーと人間界、そしてフェリシアとジェフリーの繋がりを示すものがあれば良いですね。2人それぞれの思念が宿ったものを探すのが良いと思います』


「ジェフはともかく、リアの思念が宿った物となると難しいな…」


例えば、リアが以前身につけていたものや、側に置いていたもの、大切にしていたものなどが適しているのだろう。エライユ公爵邸へ行けば、いくらでもリアの私物は手に入るだろうが、それでは弱すぎる気がする。何か、特別に思いが込められたものがあれば良いのだが。



「ピシュル様、こちらは使えませんか?」


ステラがドレスの隠しポケットから取り出したのは、1枚の白いハンカチーフだった。貴族令嬢が好んで使うことの多い、縁に装飾が施されている品。一見、多くの人が持っていそうな変哲もないものだ。


「これは私の結婚式の際、リアが刺繍を施してくれたもので、あの日からずっと肌身離さず持っていたんです」


広げられたハンカチーフには、色鮮やかな刺繍糸で花の紋様が描かれていた。


この国で古くから信じられている、結婚式での贈り物の文化だ。花嫁が幸せになって欲しいと願う人物を選び、その人が刺繍を施した物を身につけて永遠の愛を誓うと願いが叶うというもの。庶民でも比較的取り入れやすい文化として、数十年前に急速に広がったとされている。


「こっちはガーベラ、こっちがポピーです。ガーベラの花言葉は『希望・前向き・前進』 、ポピーは『思いやり・感謝・成功』なんですよ。リアとジェフを守るのにぴったりだと思いませんか?」


ステラは、花言葉はもっと他にもたくさんあるんですけどね、と笑ったが、一部だけでも覚えていることに僕は驚きを隠せなかった。


『品物としてこれ以上ない物だと思います。そのハンカチーフは常に近くに置いておくことにしましょう』


ピシュル様のお墨付きを頂き、ステラはハンカチーフを丁寧に畳んで小袋に入れ、眠るリアの枕元に置いた。

どうかリアとジェフを守ってくれますように…と祈りを捧げて。



「ジェフの思念が宿ったものは何にするの?」

「そうだな、やはり常に行動を共にしているこれだろうか」


僕は帯剣ベルトから鞘ごと剣を抜いた。

この剣は、僕が成人した時に父上から頂いたもの。なんでも、ルリと相性の良い剣になるよう作られているらしく、確かに他の剣とは使用時の扱いやすさが違う。

この剣を常に身につけるようになってから約1年半。大切な仕事仲間でもあり、自分の大切なものを守るための道具でもある。


「確かに、リアの次に大切な剣なら相応しいわね」


ステラの発言が茶化しなのか本気なのか分からないので反応に困る。あながち誤りでもないのでわざわざ否定はしないが。



「リアと僕の繋がりを示すものには心当たりがあるんです。少し待っていてください」


僕はそう言い残してリアの部屋を出て、普段僕が王宮に寝泊まりする際に使っている部屋の扉を開けた。

やはり、これしかない。


デスクの引き出しに保管しているそれを手に、3人のところへと戻る。

そして、リアの部屋のデスクに置かれている物も手に持ち、並べて見せた。


「これと、これ。ノーランとステラに見せるのは初めてだと思うけれど」


それは、2本のペンだ。ほとんど同じデザインだが、それぞれ少しずつ違う。

僕のものは軸が若草色、リアのものは青みがかった紫苑色だ。僕のものに比べて、リアのものの方が少し軸が細く、女性でも持ちやすい太さになっている。


「…いつ作ったのかだけ聞かせてくれる?」

「2人の婚約が決まった直後くらいだったから、2年前くらいか…」

「そうだよね、分かってたよ」


このペンは、リアと僕がノーランとステラの補佐役に就くことが決まった時に、決意の証として作ったものだ。デザインはリアが選んでくれたもので、互いのイニシャルが彫られているのがこだわりなんだとか。軸の色はお互いの瞳の色をイメージして選んだそう。


「こんなあからさまなもの…!」

「まぁまぁ、僕たちが介入することじゃないから」

「でも!!」

「僕たちすら見たことがなかったってことは、外部の目には触れていないはず。だから大丈夫だよ、今のところは」


『ノーラン、人間の世界ではこのペンが何か特別な意味を持つのですか?』


「えっ、あ、いや…人間同士の絆を示す意味、かな?」


『それは今回の品に相応しいですね。両者がそれぞれ大切に使用していたというのも素晴らしく良いです』


どうやら、このペンはピシュル様の中で条件を満たしたようだ。


これで、安全性を高めるために必要な品々は揃った。あとは、僕がリアを連れて人間界へ帰ってこられるように、僕の精神状態を整えるだけだ。

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