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【完結】3年ぶりに目覚めたら、いきなり溺愛始まりました!?  作者: らしか


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第二十二話

クロサイトとルピナスの王都間は馬車で約1ヶ月、早馬で1週間の距離。馬車の場合は、途中で休憩を取ったり、馬を変えたりするので、かなり時間がかかる。王家所有の長距離用馬車は揺れが少なく、丈夫にできているので、比較的快適だ。



「ルピナス、初めて訪れた国だったけれど、景色の綺麗なところだったわね。また来てみたいわ」

「そうだね。もう少し余裕があれば、海岸の方へ視察にも行きたかったんだけど、なんせ時間がなくて。1か月以上滞在していたのにおかしいな」

「気がついたら仕事ばかりしていて、息抜きする余裕もなかったわ」


ノーランとステラは僕の方をチラチラと見ながら話す。そんなことを言われても、忙しかったのは仕方がないのだ。滞在期間は限られているのに、こなすべき仕事は無限かと思うほどあったのだ。事件に関する調査が進んだこともあり、一概に文句ばかり言ってはいられないのだが。


「残念ながら、馬車の中でもやっておかないといけないことがありますよ」


僕の言葉に、ステラはあからさまに嫌そうな顔をしたが、気が付かなかったふりをして続ける。


「事件について、現状と今後について共有しておく」


今回、ルピナスにおける調査のほとんどは僕が担当していた。王太子、王太子妃である2人には、2人にしかできない仕事を優先的に行なってもらうためだ。僕は補佐官としての仕事はあれど、僕にしかできない仕事はそう多くない。結果的に、調査の報告や方針の相談は僕のところに集まるようになっていた。もちろん、王太子であるノーランに僕から共有することを前提として。



「まず、調査は両国で今後も続けていくが、ルピナスでは主に信精教団を中心として調査してもらう。クロサイトではラトソル男爵とブラッドの教団との繋がり、大精霊ディレンスについて調べる。精霊たちと連絡が取れるようになった暁には、調査を進めるにあたって必要なことを聞く予定だ。例えば、ピシュル様とディレンスの関係性、愛し子が集まれば、その能力が増強するという話の真偽について、そして、リアの現状と助ける方法」


信精教団の関係者は捕えることができたが、その取り調べはまだ途中の段階。今からまだ、新しい証言が得られる可能性もある。


リアについては、3人とも1番気になっているところだ。

教会の聖堂にて、ノーランがピシュル様と話した際、ピシュル様はリアが眠っていると仰った。具体的にどのような状態になっていることを指すのかはわからないが、我々はリアを安定した状態で維持することだと考えている。そのため、リアを助けるためには状態を変化させる何かしらの要素が必要なはず。それが時間なのか、薬なのか、はたまた全く別の何かなのかは分からない。

ピシュル様やルリ、リトフと連絡が取れるようになったら、もっと具体的な話をしたいと思っている。



「男爵たちについてはクロサイトから報告をもらっているけれど、めぼしい証言は出ていないみたい。相変わらず男爵は繋がりを否定しているし、賊も気が狂っていてまともに話ができる状態じゃないそうだ」

「僕たちがルピナスに来る前から様子はおかしかったからな。改めて男爵邸と信精教団の本拠地を調査して、関係性を示すものがないか確認しようか」


「帰ったら、王城の聖堂にももう1度行ってみましょう。もしかしたら話せるようになっているかもしれないわ」

「そうだね、可能性としては十分にあるよ」


僕たちがルピナスへ出発する前、なんとか精霊たちと連絡が取れないかと聖堂を訪れたことがある。王城の聖堂は、ノーランとステラが結婚式を挙げた場所で、リアと一緒に精霊の祝福を目にした場所でもある。基本的に聖堂と呼ばれる場所は精霊の存在を近くに感じられると言われており、実際にルピナスではノーランがピシュル様との会話を成功させた。前回クロサイトの聖堂で試したときには話すことはできなかったが、リアが眠りについたという今なら、可能性はある。


「ルリやリトフを通して、フィアと話すことができたら1番いいな。きっとリアの1番近くにいるのはフィアだし、彼女は聖の精霊だから」


ピシュル様は精霊を統べる王的存在、大精霊様なので、精霊の世界で起こったことの全てを把握しておられるはずだ。しかし、ピシュル様にはお聞きしたいことが多すぎるので、フィアが分かることはなるべく、彼女に聞きたい。それに、フィアはリアのことをよく理解しているはずなので、より詳しい情報が得られると思う。


「今はただ、もどかしくて仕方がないわ」

「できることがあまりないからね」



そんなもどかしい日々も1か月が経ち、僕たちは王都へと戻ってきた。

長旅の疲れを癒すため、ゆっくりと休暇を取る、なんて夢のようなことがあるはずはなかった。


すぐに国王夫妻に謁見し、ルピナスでの事を事細かに報告する。ある程度は早馬で随時お知らせしていたが、やはり詳細は直接説明しなければならない。


2時間ほどで報告を終えたら、その足でリアの眠る部屋へと向かった。ノーランとステラは1度着替えてから来るとのことで、どうやら気を遣ってくれたようだ。


「ただいま、リア」


「たとえリアが眠っていたとしても、やっぱり側にいてくれないと落ち着かないものだね」


「もう少し、あと少しでリアを助けてあげられるはずだから…」


現在、リアの魂は眠りについているらしい。おそらく、僕の言葉も聞こえていないはずだ。それでもリアなら、うんうん、と話を聞いてくれているような気がして、話したいと思う自分がいる。


その後部屋にやってきたノーランとステラも、ルピナスであったことを土産話かのように楽しそうに話した。2人にとって、辛いことも、苦しいことも、目を背けたくなるようなこともあったルピナスでの滞在ではあっただろうが、事件解決に向けて大きな前進を得たという点が2人の表情を明るくさせている。



その一夜はずっと、リアのすぐ側にいた。この3か月間を取り戻すかのように。

窓の外では、大きな満月が煌々と庭園を照らしていた。

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