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【完結】破天荒な妖精姫は醜い夫を切望する  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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88.五日は愛し合いたいですわ

 深いキスは苦しくて、息ができずにぐったりとシーツに沈みました。脱がそうとして困惑するアレクシス様が可愛かったですわ。起き上がって自らドレスを脱いで、途中で後ろのホックなどを外していただきました。


 肌が露わになると、突然吸い付いてきます。ちゅっちゅと音を立てて、たくさんの痕がつきました。これが足りないと、花嫁への愛情が不足しているのでしたね。触れたりキスをされたり、大量の痕を残されると熱くなってきます。


 熱い肌に困惑している私をよそに、アレクシス様はとても積極的でした。あらぬ場所にキスされ、胸を揉まれ、裏返されて背中もキスがたくさん。たっぷりと香油で濡らされたアレクシス様を受け入れ、声が枯れても止まりませんでした。


 明け方頃に意識が途絶えたのですが、私だって頑張りましたのよ。途中で体勢を入れ替えて上に乗りましたし、休憩中のアレクシス様を舐めたりキスの痕を残したり。閨の教育が吹っ飛ぶほど、堪能しました。


 翌朝、喉の痛みに目を覚まし……溶けた氷が溜まる銀色のクーラーへ手を伸ばします。でも届かなくて。


「ん……ヴィー? 飲み物か」


 おはようございますと掠れた声で微笑んだところ、シャンパンの栓を抜いてくださいました。差し出されたフルートグラスで飲み干し、ほっと一息つきます。もう朝になったのに、誰も起こしに来ないのですね。


「アレク、ス様……朝食……」


「ああ、運んでもらおう。そのつもりでアントンに申しつけてある」


 ベルを鳴らした後、ノックが聞こえました。がっちりした裸体にガウンを羽織ったアレクシス様が扉を開き、さっとワゴンを中に入れます。果物やパンに具を挟んだもの、それから冷たいお茶が用意されていました。気が利きますね。


「これなら、ベッドで食べられる」


 万全の準備をしてくれたアレクシス様に感謝しながら、果物をいくつか頂きました。閨は体力勝負! カミラ様や王妃殿下の忠告では、初夜は三日ほどかかるそうです。初夜と呼んでいますが、実際は長い時間がかかるのですね。


 もしかしたらベッドの上で過ごすから、朝を数えないのかも知れません。長いほど仲がいい証拠、お母様のお言葉に従い五日を目指し頑張りましょう。


 手招きし、アレクシス様に抱きつきました。太い腕も逞しい胸も、この傷痕も……すべて私のものです。頬を擦り寄せると、肩を抱き寄せられ。顔を上げて口付けました。


「果物だけでは体力がもたんぞ?」


 頷いて、ハムの挟まったパンを齧りました。喉が腫れて痛いのですが、冷たいお茶で流し込みます。


「美味しいですね。これを食べたら、また……愛し合いましょう」


 やや回復した体力と喉で、愛しい夫に続きを強請りました。やっと手を出してもらえたのですもの。これで終わりは嫌です。もっとたくさん、可愛がってください。




 時折差し入れを受けながら、私達は寝室に篭り続けました。結局、寝室を出たのは……五日目の朝でしたわ。

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