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【完結】破天荒な妖精姫は醜い夫を切望する  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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84.腫れたアレが心配です

 結婚式を明日に控えた夜、私は気づきました。結局どなたにも、妖精王様がお見えになる相談をしていません。来客が一人増えるだけのこと、大きな問題ではありませんね。夜会などではよくあることです。


 ただ思い出したついでに、エレンへ果物の要望を出しました。妖精達は甘く瑞々しい果物を好むのです。理由は説明しませんでしたが、彼女も特に尋ねません。用意する約束をしてくれました。


「もう寝るぞ、ヴィー」


 今日も一日中鍛錬に励んだアレクシス様は、お疲れの様子。結婚式が近づくにつれて、鍛錬の時間が長くなりました。もしかして、誰かが私を奪いに来る心配を? ふふっ、とても愛らしい方ですこと。私は誰に言い寄られても、アレクシス様以外は選びませんのに。


 ご機嫌でアレクシス様に近づき、ベッドの手前で躓きました。何もない床を振り返れば、ブラシを落としていたようです。そのままベッドへ倒れ込み、アレクシス様の足を避けて手を突きました。


 お兄様には「鈍い」と言われる私ですが、ぶつかる前に止まりましたわ。誇らしげに顔を上げると……何かが布を押し上げています。これは? 体勢を立て直しながら指で突くと、鬼の形相のアレクシス様に止められました。


「これはっ! 触れるな。いや、明日になれば触れても……やっぱりダメだ」


 錯乱しておられるのかしら。痛いのなら悪いことをしました。きっと鍛錬で股間をぶつけたのですね。


「っ! もしかして痛いのですか? でしたら手当をしますので」


「手当は不要だ。いいか、絶対に触れるな」


 重ねて止められたので、伸ばしかけた手を引っ込めます。股間はアレがあるのでしたね。ぶつけたなら、さぞ痛いでしょう。あんなに腫れているんですもの。普段の倍くらいあります。


 心配でちらちらと見てしまいますが、そのくらいは我慢していただければと思います。いつもより腕枕が離れて手首枕になっていても、私は我慢できますわ。だって、股間が痛いのでしょう? 明日までに治ることを祈りつつ、静かに就寝いたしました。


 寝不足ですと肌が荒れて、化粧のノリが悪くなります。待ち望んだ一世一代のイベント、結婚式では最高に美しい私を捧げたいのです。深呼吸して、ゆっくり眠りに落ちていきました。完全に眠る直前、手首枕が消えたような気が……いえ、気のせいですわね。




 すっきりした朝の目覚めに、隣を見れば空でした。エレンによれば、アレクシス様は朝の鍛錬に向かわれたとか。今朝くらい休めないのでしょうか。騎士様の真面目さは、聖職者並みですね。それがあの剣技や立派な筋肉となって現れるのでしょうか。


 エレンに促され、軽食を齧ってお風呂に入ります。昨日も念入りに肌を磨いたのに、香油でマッサージされて髪も整えられました。あっという間に仕上がっていく私は、されるままです。侍女達の剣幕に負けて、言われる通りに動きました。


 化粧の途中でドレスを纏い、シーツでドレスを保護しながら化粧の残りを施されます。綺麗に仕上がった私に、妖精達が粉をかけてくれました。きらきらと輝きが増した気がします。感謝の言葉を述べたところへ、再び軽食が運ばれました。


 今日は一日、こんな感じなのでしょうか。忙しない結婚式の準備に追われながらも、汗をかくのは厳禁です。お母様が顔を見せ、用意したヴェールを被せてくれました。


 あとはお父様のお迎えを待つだけです。いざ! 結婚式へ!!

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