表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】破天荒な妖精姫は醜い夫を切望する  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/113

51.神様の鳥っていつ頃来られるかご存じ?

 侯爵夫人はお母様と一緒に到着されました。驚きましたが、エレンがすぐにお茶菓子の追加を頼んでくれたので、何とかなりそうです。お庭に用意してもらったのは、薄布を使ったテントでした。簡易のものですが、日陰を作っているのに暗くなくていいですね。それに風も通るので、涼しく過ごせそうです。


 淑女のドレスはとても美しくて素敵ですが、重いですし夏に暑いのが難点でしたから。涼しい風が入るこのテントは、裾や天井に装飾を施したら流行するかも知れません。


「素敵なお庭ね」


「ありがとうございます。シベリウス侯爵夫人」


「あらいやだ、前にも言ったでしょう? ロヴィーサは娘も同然、カミラと呼んで。それより恐ろしい目に遭ったと聞いたわ。もう平気なのですか」


「はい、カミラ様。ご心配ありがとうございます」


 笑顔で応じながら、三人で円卓を囲む。四角いテーブルにしてなくて良かったです。円卓なら順位が付きませんから。お母様とカミラ様の場合、どうしても公爵夫人であるお母様の方が上座になるのです。でもお友達に順位を付けるのは失礼だと、お母様はいつも円卓を利用していました。


 正確には円卓でも座席に順位はあるそうですが、王族との会食でもなければ関係ないそうです。そのため私もいつものお茶会のつもりで、円卓を用意してくれるよう頼みました。


「このテントは辺境伯家が普段からお使いなのかしら」


「アレクシス様が戦場でよく利用されるそうですわ。未使用の新品をお借りしましたの」


 虫よけに使うと聞きました。円形のテントの天井は帆布で透けませんが、そこから足元まで覆う壁部分は細かな網の薄布を巻いています。傭兵の方々が設置してくれました。そんな雑談から始まったお話は、徐々に核心へ向かって進みます。


「それで、ヴィーはもう……その、したの?」


 した……ああ、夜這いのことですね。にっこり笑って頷きました。


「まぁ! 一緒に夜を過ごしたのね?」


「はい、その後も時々一緒に寝ておりますわ」


「あらぁ!」


 感嘆の声がテントの外まで届くのか、時折エレンが動こうとしますが首を横に振りました。お茶が必要な時は呼びますわ。


「カミラ様、私……夜這いのお作法を間違えてしまいましたの。実は告白する前にお部屋に侵入して、飛び付いたのです。でもアレクシス様は許してくださって」


「っ! そうなのね。きっとロヴィーサがいい子だからよ」


 せっかく教えていただきましたのに、申し訳ないことです。それと、大切なことをお尋ねしたかったのです。お母様もおられますし、ちょうどいい機会ですわ。


「あの……それで、神様の鳥っていつ頃来られるのかしら。私まったく分からなくて、出来たら結婚式後にお願いしたいのですが……どう伝えればいいのか困っておりますの」


「「はい??」」


 お母様とカミラ様が同時に首を傾げ、互いの顔を見てから私を凝視しました。


「いろいろ聞きたいことがあるわ。そう、夜の話とかいろいろと」


 いろいろを二度口にされましたが、そんなにたくさんお話があるのですか? カミラ様。お母様もそんなドラゴンにひっぱたかれたような顔をなさって。


 詳しいお話は外に漏れるといけませんので、人払いをした私の私室へ移動することになりました。折角テントを用意していただいたのに、半刻も使用しませんでしたわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ