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【完結】破天荒な妖精姫は醜い夫を切望する  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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42.ドレスの仕上がりは上々のようです

 一般的な貴族令嬢なら、国王陛下にお呼ばれされる度にドレスを新調するようです。私はすでにたくさんのドレスがございますし、国王陛下と王妃殿下には娘のように可愛がっていただいております。何度もお会いしましたが、同じドレスをアレンジして着用する経験もありました。


 お気に入りのドレスは何度でも着用したい派なのです。裾が擦り切れたら、今度は部屋着に仕立て直すのが我が家ですもの。


「ですので、お兄様の結婚式のドレスだけで結構ですわ」


 辺境伯家の収支は存じませんが、私は贅沢するために結婚するわけではありません。体がひとつなのに、部屋二つも占拠するドレスが並んでいます。これ以上は不要ですわ。


 もし太ったら着れなくなりますのよ? それに……同じベッドで一夜を過ごしたので、もうすぐ神様の鳥が赤ちゃんを授けてくださるかも。赤ちゃんをお腹の中に宿していただいたら、当然お腹が膨らんでドレスを直す羽目になるのでしょう? 尋ねた私に、アントンは嬉しそうに頷きました。


「そうですね、若奥様の仰る通りです」


 ひそひそと会話したお兄様は顔を両手で覆って俯き、アレクシス様は目を逸らします。ああ、そうでした。結婚式がまだなので、赤ちゃんはゆっくり運んでもらうよう祈っておかなくては。さすがに大きなお腹での結婚式は見たことありませんもの。


 オリアン洋裁店は、王都で屈指の有名な仕立て屋です。王妃殿下やお母様もドレスを頼む有名店でした。実は私の婚礼用衣装も、こちらに注文してありますの。事前に準備しておけば、すぐ結婚できますから。


「以前ご注文いただいたドレスは、そろそろ仕上げに入ります。お嬢様のご注文通り、刺繍をたくさん入れました。仕上がりましたらお持ちします」


「ありがとう。楽しみにしていますわ。今日注文のドレスを先に仕上げてくださるかしら。お兄様の結婚式に着用したいの」


「もちろんです。エールヴァールの奥様よりお申し付けをいただいております」


 あら、お母様が注文の手配をしてくださったのね。手持ちの宝石を合わせる予定で、ドレスは胸元を少し大胆に開けた。以前は、挨拶する殿方に気を持たせるから禁止されたデザインです。


 今回は婚約者であるアレクシス様と参列するので、問題ありませんわね。


「その……女性のドレスに口を挟むのが野暮だと承知で言うが。胸元が開きすぎではないか?」


「アレクシス様と婚約しましたので、問題ないと思います」


 婚約者がいなければはしたない娘と思われるが、一緒に参列するのなら大丈夫。そう説明すると、奇妙な唸り声を上げました。具合が悪いのでしょうか。


「アレクシス殿、しっかり守ってくれ」


「守りやすくする配慮はないのか」


「ヴィーに配慮を求めるな」


 何だか失礼な会話ですわね。試着したドレスの腰に手を当てて、ぷくっと頬を膨らませます。抗議の姿勢を鮮明にした私に、お兄様は両手を挙げて降参しました。


「悪かった。だが、ヴィーが着たいと望んだなら、叶えるのが婚約者であり夫だろう? 非常識な格好ではないのだからな」


 お兄様はアレクシス様を説得なさっていたの? そんな風には聞こえませんでしたが。


「当日はショールを羽織らせよう。他の男に見せたくない」


 なるほど、嫉妬なさっていたのね。ご安心くださいな、私はアレクシス様一筋ですわ。

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