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【完結】破天荒な妖精姫は醜い夫を切望する  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
本編

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103/113

103.辺境伯夫人の役割を果たせていません

 我慢できない旦那様の聖剣は、手や口で宥める方法があるそうです。小耳に挟んだので尋ねたのですが、真っ赤になったアレクシス様は答えてくれませんでした。


 エレンは聞く前に逃げますし、ニクラスやアントンは「お答えできません」の一点張り。困ってしまいます。ここは出産経験のあるご婦人を頼りにしましょう。マナー教室に来ていた奥様達に相談すると、細かく教えてくれました。


 今夜、即実践です! 


 お腹が大きくなると難しいでしょうが、今なら可能ですわ。そう促し、ベッドで裸になっていただきました。おろおろする旦那様の聖剣は、なぜかぐったりしています。でも、ぺろりと舐めたら立派に育ちました。


 お胸に挟む、聞いた秘技を実践しようとしたら……すごい勢いで止められました。お腹に負担がかかる姿勢はダメなようです。そのまま裸の旦那様に拘束され、朝まで熟睡しましたわ。


 翌日、アントンから思わぬ話を聞きました。しばらく辺境の見回りがあるので、留守になさるそうです。騎士もついていきますが、当然、守りを固める砦に半数以上は残ります。


 手薄になることより、アレクシス様が心配でした。今までに何度も行った見回りなので、問題ないとアレクシス様も笑って答えます。数日後の出発に備え、夜はしっかり休むことにしました。


「気をつけてくださいね。危なければ、妖精王様の名を呼んでください。そのための加護です」


「ああ、わかった。ヴィーの名前を呼んでしまうかもしれんが」


「それでも対応できるようお願いしておきます」


 祈るように手を組むと、アレクシス様は笑って額と頬にキスをくれました。遠ざかっていく一行は三十人ほどの規模です。騎士ばかりで野営を行いながら、辺境を見回る。このお役目が無事に終わりますように。


 姿が見えなくなるまで見送りました。ご婦人方と交流を深め、貴族の相手をして、商人達の諍いを仲裁する。忙しくなり、日付を数えるのも忘れた頃……砦にラッパが鳴り響きました。二階の窓から顔を出し、状況を把握しようと努めます。


「これは?」


「ご主人様のご帰還だ!」


「門を開け」


 歓喜の声を上げる騎士達の言葉に、状況を理解しました。アレクシス様がお帰りになったのですね? 急がなくては! お出迎えは貴族夫人の役割です。階段を駆け降りる私は、足元が疎かになっておりました。ふわりと体が浮いたような感覚、踏み損ねた階段が急激に目の前に迫ってくる。


「きゃぁ! アレクシス様」


 咄嗟にお腹を庇って体を丸め、大声で叫んでおりました。肩を打ちつけ、背中も打ったようです。痛みで震えながらも、大切に抱えたお腹はまださほど膨らんでいません。それでもアレクシス様と私の子が……。


「お願い、無事で……いて」


 呟いた私を抱き上げる腕は、アレクシス様ではありません。それでも抗議する力もなく、ぐったりと体を預けるしかなくて。優しくソファーに下され、一息ついて顔を上げると……見覚えのある美貌が。


「妖精王、様?」


「さっきは私の名を呼べばよかったのだ、その方が早かった」


 むっとした口調で叱られてしまいました。おろおろするエレンにアントンが指示を出し、家令ニクラスの姿が見えない。きっとアレクシス様のお迎えに行ったのだわ。マーリン様の手が私のお腹に乗せられたところで、乱暴に扉が開きました。


「ヴィー、無事か!」

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