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最初の記憶

生まれてから最初の記憶って何だろう?


台所にあったテーブルの高さと自分の身長が全く同じで、テーブル

の高さを測ったらちょうど一メートルだった。

だから自分の身長はいま、一メートルだと知った記憶だろうか。


それとも、四歳の誕生日を迎えて間もない頃に、庭で遊んでいて、

義理の伯父に

「いくつになったん?」

と聞かれ、四歳になったとわかっていながらもふざけて

「三歳」

と答えた記憶だろうか。


それとも、スーパーでの買い物帰りに自転車の後ろに乗せてもらい、

母に年齢を聞いた記憶だろうか。

そのとき母は、三十九歳と答えた。

ということは、少なくとも私は四歳三ヵ月を過ぎていたことになる。

今年で三十九歳という意味で答えたのでなければの話だが。


それとも、当時放送していたアニメ世界名作劇場『ペリーヌ物語』

に出てくるキャラクターのバロンのぬいぐるみを、おもちゃ屋さん

で買ってもらった記憶だろうか。

このアニメは、一九七八年一月から十二月まで放送されていた。


タイムボカンシリーズの『ヤッターマン』は、いとこが大好きで、

一緒に見ていた記憶がある。

こちらは、一九七七年一月から一九七九年一月まで放送されていた。


『一発貫太くん』というアニメも、楽しみに見ていた記憶がある。

移動ラ式ーメン屋を営む母が、八人のこどもとペットの犬の九人で

野球チームを結成し、鍛えていくホームコメディアニメ。

こちらは、一九七七年九月から一九七八年九月まで放送されていた。


これらは、私が二歳から三歳の間に放送されていたことになるので、

見ていたのが再放送でなければ、この記憶が有力かもしれない。


私は幼稚園に通っていない。

保育園にも通っていない。


小学校に入学したとき、私以外のみんなは、顔見知り同士だった。

私だけが転校生状態で、なかなか溶け込めなかった。


そもそも、なぜ幼稚園に通わなかったのか。

それは、私が幼稚園に通うべき年齢になったときのこと。

母が

「幼稚園に行きたいか?」

と聞いてきた。


私は何を言っても

「みんな行ってるねんから、おまはんも行き!」

と言われ、どうせ通うことになるのだと思ったので、あえて

「イヤ!」

と、幼児特有の天邪鬼な回答をしてみた。


また、“幼稚”という単語が好きではなかったし、家族によく

「幼稚やね」

と言われたことを、コンプレックスに感じていたのも原因だった。


しかし、母の返事は

「ふーん。そうか、わかった。じゃあ断っとくわ。」

だった。


この予想外の展開には衝撃を受け、前言撤回する余裕もなかった。

こうして、幼稚園に通わないことが決定した。

私が親なら、子供に意志を聞かず、通わせるのだが…。


小学校に入ってから苦労するのはこども。

かわいそうなのは全部こども。

こどもにはこどもなりの社会があり、幼稚園で覚えることもある。


小学校に入っていきなり、

「誰や、あいつ?」

というような視線をどれだけ感じたことか…。

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