やっぱりね・・・
ようやく呼吸も落ち着き、隆一は身体を起こした。
わずか一時間のうちに体験した2つの出来事が頭の中をグルグル回る。
妖精と、ゴブリン
まるで漫画のような、でも確かな存在感が、それらが決して夢ではないと隆一に確信させていた。
ポケットからスマホを取り出し、電源を入れてみる。
先程撮影した妖精をもう一度確認しようと、立ち上げシークエンスを待って・・・
「!?」
「「明るくなった!?」」
立ち上がった画面の中に先程の妖精-リシャックが写し出される。
但し、静止画像てはなくテレビのように自由に動いてしゃべっていた。
「どういう事!?」
「「こっちが聞きたいよ!!」」
確かに
思わず頷く隆一にリシャックは自分の現状を訴えた。
「「さっき君がその青いやつ、ビカッとさせたと思ったらいきなり真っ暗くなって、凄く眠くなって気がついたら寝てたみたいなんだけど凄く眩しくなって、それで目が覚めたんだ」」
「へえ」
興奮した様子でまくし立てるリシャックの言葉を聞きながら隆一は取り敢えず相槌を打つ。
いずれにしても、今は喋れる相手がいるだけでも嬉しかった。
誰もいなければ、頭がおかしくなってしまいそうだ。
気がついたら隆一の目から涙がこぼれていた。
「「・・・大丈夫!?」」
「ああ・・・」
言葉少なく答えて、隆一はポツリポツリと嵐から先程迄の事をリシャックに話していった。
「・・・ここは一体どこなんだよ」
「「うーん、なに言ってるのかよくわからないけど、エスミーアって名前、聞いたことない?」
「・・・ない」
「「この陸の名前だよ。やっぱりこの辺りの人じゃなかったんだね」」
「どうもそうらしいな・・・普通はさっきのゴブリン?とかいないし」
「「あぁ丘の麓のアイツ等か。乱暴で話通じないから嫌いなんだよね」」
情報を交換しながら、隆一はリシャックと少しずつ打ち解けて行ったのだった。