ファンタジー?
「*:>」ー %)]-!?」
いきなりよくわからない言葉で話かけてくる妖精。
そのまま背中の羽から燐粉のように光の粒を撒きながら隆一の方にに飛んでくる。
あぁ、わかった。
これ夢だ。
隆一はそう判断して、取り敢えず心を落ち着けた。
痛みもあるし喉も渇くし、やたらと現実感はあるが、きっとこれはこういう夢なんだろう。
そうこうしてる内に、妖精は隆一のほんの目の前にホバリングし、珍しそうに目を覗きこんでくる。
同時に隆一もまじまじと妖精を見返した。
中性的で整った顔立ちと、どうも葉っぱで作ってあるらしい緑の貫頭衣。
背中の羽根は羽ばたいているわけではなく、よく見ると細かく振動している。ただ、蚊のような深いな高音がするわけではなく完全に無音だ。
やや高めの声で繰り返し何かを言って来るが、言葉は全くわからない。
見た目通り、高い知能はあるようだし、心と目が慣れてくると、その豊かな表情もわかってきた。少なくとも敵意や恐怖は内容だ。
どうやら、妖精の方も隆一に興味津々らしいが、依然、意思の疎通はできない。
隆一も妖精も、お互いに困った顔になって固まる。
しばらくすると妖精は、意を決した表情で隆一を手招きしながら泉に向かってゆっくり飛んでいく。
隆一は首を傾げながらも取り敢えず泉に近づく。
満足気に頷いた妖精は、今度は泉を指差し、両手で掬って飲む仕草をして見せた。
どうも、この泉の水を飲めと言うことらしい。
いずれにしても喉はカラカラだし、どうせ夢なんだと、隆一は妖精に促されるまま水を掬って口に含む。
ああ、うまい・・
冷たく濁りの少ない湧水だ。
胃が一瞬冷たくなって・・・
「「おーい、わかるかい?」」
いきなり話しかけられた。
「!?」
見ると目の前に妖精が飛んできて話かけてきた。
間違いなく、こいつの声だ。
「「あれ、おかしいな・・・まだ通じない?」」
言葉自体は日本語じゃない。訳のわからない言葉で、でも意味は理解出来る。そんな不思議な感じだ。
「・・・はい、わかります」
我ながら間の抜けた声で、取り敢えず絞り出した声に、妖精はニヤリと笑って頷いた。
「「ボクはリシャック。キミは・・・この辺りの人じゃないよね?」」
「えっと、多分そうだと思うよ・・・」
どうやら、こちらの言葉も向こうに伝わるらしい。
夢の中らしく、ほどほどのご都合主義だ。
「「だよね。この泉の水を飲むまで言葉わからなかったみたいだし」」
「どういう事?」
「「この辺りの人なら、飲んだ事のない人はいないからね」」
「?」
「「説明するよ・・・」」
困惑する隆一に、妖精がおもむろに説明を始めた。