方針設定
焚き火の火をぼんやり見つめながら、隆一は今の段階でわかった事を改めて整理してみた。
まずリシャックはもはやただのアプリ。勿論、隆一の精神衛生を考えると、会話できるという事だけでもとても貴重な存在なのだが。
海岸は浜辺と岩場があり、貝類を中心に最低限の食料の確保は出来そうだということ。
真水はリシャックの泉まで行けば入手できる。
林の道を抜ければ人里に出れるのだろうが、途中にゴブリンの集落があり、山の中を大きく迂回しないと抜ける事は出来ない。もちろん、遭難や、ゴブリンと鉢合わせる可能性は低くない。
したがって、まずはこの海岸で態勢を整え、可能な限りの備えを行う必要がある。山越えと、万が一の戦闘に耐えうる備えだ。
取り敢えず必要なのは衣食住。
食べ物の確保、服の確保、そしてそれらが整うまでの寝床の確保だ。
食べ物は最低限2~4日の食料と水。食料については、海産物の燻製や干物を中心に林で何か採集できるのであればそれも加えたい所だ。
水については水筒を作る必要があるが、これが以外と難関なのは想像に堅くない。それについては後から考える事にしよう。
服に関しては植物の葉っぱを中心にテグスの中で太めのものを使えば何とかなりそうだ。木を使って、いざという時の防具も欲しい所だ。
わりと簡単そうなのが住。岩場は崖のような形で林の方まで続いている。それを利用すると良さそうだ。林の一番海岸側の崖に面した部分で、崖に木を持たせかけ、隙間を椰子科の植物の葉をかけて塞げばいい。
しばらく考えて、明日の予定を考える。
まずは、食料大量確保のための罠作りだ。
そんな事を考えながら、隆一はいつの間にか眠りに落ちていった。




