スマホの妖精の力
「リシャックは他の人間と会うことはあるの?」
「「あるけど、最近は無いよ。ほら、丘の下にゴブリンが集落作ってたでしょ。それからは泉に人が来ないんだ」」
リシャック自身は基本的に泉とそこに続く道の上しか移動できないらしい。
たまたま、スマホの中に移り住んだ(?)から泉の側から離れられたのであって、海岸に来るのも初めてだと言う。
だから、以前泉に来た人間に聞いただけで、外の世界を詳しく知っているわけではないらしい。
「そういえば、リシャックも魔法が使えるの?」
ふと、気がついた隆一がリシャックに聞いてみた。
「「もちろん。簡単なヤツだけどけどね」」
そう言うと
「「小さき炎よ・・・点火」」
どうも呪文詠唱らしい呟きを口にし、画面の中で手を付き出した。
リシャックの人差し指の先に小さな火がともる。
「おおっ!?」
「「どう?」」
ドヤ顔でリシャックが聞いてくる。
「・・・・・・」
「「どうしたの?」」
「その火、画面の外には出て来ないみたいね・・・」
「「え」」
念のために画面を触ってみても熱は全く伝わってこない。
リシャックが魔法を使えるなら少しは楽にサバイバルできるかと期待した隆一は、ガックリと膝を落としたのだった。
色々試した結果、今のリシャックが出来ることがわかって来た。
ライトを灯せる。
呼び出し音をならす。
音楽をかける。
時間を分かりやすく表示する。
会話する。
魔法を画面の中でのみ使える・・・
「もはやただのアプリじゃん・・・」
電池を自動補填するアプリなんてあれば確かにとてつもなく便利だが、電波がない今の状況ではスマホの基本機能しか使い道がない。
一番ありがたいのがライトの点灯だが、所詮スマホのライトであって、ほどほどの灯りとしか言えない。
しかもリシャックとしては、ライトがスマホの背中側にあることから、あまり興味もないようだった。
サバイバルの難易度はほぼ変わらないようである。
一万字越えました。
最終何字まで行けるかわからないですが、頑張って書ききって見たいと思います。
そろそろプロローグ的な部分から、本編的なパートへと以降していきます。
ある程度したら、章や話数などの整理を行う予定です。また、加筆、修正も併せて行うつもりです。
まだまだサイトの機能すら理解していない状況なので色々お見苦しい所あるかと思いますが、宜しくお願いします。