現代知識で乗り切れ異世界サバイバル(ヘルモード)w
プロローグ
いきなりスタート1
ナイフと、壊れた100円ライターと、500円玉と釣具がいくつか・・・
波打ち際で目を覚ました赤羽隆一が仰向けのまま、ジーパンのポケットに手を突っ込んだ。
中のものを大雑把に確認しながら、自分の体の状態に意識を向ける。
とりあえずは生きているようだ。
アチコチ痛いし海水が沁みる感じからして、岩か何かで脇腹や手足を擦りむいたのだろう。
日差しの強さに意識を取り戻したが、日差しの強さから目をなかなか開けられない。
それでも薄目を少し開けて、回りの状況を見るくらいには意識が張りを取り戻して来た。
キレイな砂浜だった。
いつか旅行雑誌で見た海外のビーチさながらに、白い砂浜とヤシの木が美しくのどかな雰囲気を作り出していた。
どうやら入江状になったマイナーなビーチのようだった。
ゆっくりと体を起こしながら改めて自分の状態をチェックする。
動画撮影用のスマホは腰に着けたチェーンにつないでいたお陰ですぐ脇に転がっていた。
左足の靴はどうやら流されてないようだ。見回しても見当たらない。
大きなケガがないことにほっとしながら隆一はノロノロと立ち上がった。
水平線には島影一つ、船影一つ見当たらないが、代わりに大きな積乱雲が遥かに見えた。
「どこだ、ここ・・・」
呆然と呟く。
左手のダイバーウォッチを見ると
0826 12:30
「3時間・・・」
思わず呟いた。
最寄りの漁港から、およそ3キロほどの無人島に小型のモーターボートをレンタルして到着したのが朝の9時すぎ。
適当な岩場に船をつなぎ、荷物類ー釣竿と網、それと米と飯盒を下ろす。
最近、投稿動画の閲覧回数が上がっていないので、起死回生の作戦として趣味の釣りを中心にした「無人島生活」の撮影に、わざわざこんなところまで来たのだ。
時々漁師が休憩に立ち寄る島なので、漁村の人間かその身内なら別に咎められる事もない。
サバイバル気分のキャンプを楽しむにはなかなかいい場所なのだ。
いよいよ荷物を下ろし終わったその時。
「!?」
いきなり風が変わった。
いや、変わったレベルではない。
突風、いや・・・
「竜巻?!」
隆一が叫び声を上げた。
物心ついた時から、海で遊んで来たのだ。
異常な気象や危険な潮流なら身に染みてよく知っている。
しかし、こんなに突然の突風、しかも自分の体が前触れもなく飛ばされ経験なんて・・・
隆一の意識は海に落ちた瞬間に途切れ・・・
どうやら、あの突然で海に落ちて、どこか近くの陸ー島かも知れないがーに流れついたらしい。
「マンガじゃあるまいし、よく死ななかったなぁ」
他人事のような感想のあと、その場に座りこんだ。
濡れたジーパンで砂に座り込み、その気持ち悪さに軽く顔をしかめる。
スマホのロックを解除し画面を覗き込む。
壊れてはいないのは、流石サバイバル対応型の防水スマホだ。しかし、
圏外・・・
バッテリーも十分あるのだが、文明の利器を使える環境ではないらしい。
取り敢えず、電池節約のために電源を落とす。
どうやら、サバイバル動画撮影前に遭難してしまったらしい。
「リアルサバイバル・・・!?」
呆然とした隆一の呟きが波音に紛れた。
初めての投稿になります。
どこまで書けるかわかりませんが、のんびりこんびり不定期更新して参ります。
宜しくお願いします。