プロローグ
少しずつ考えていたものを形にしたい。
文章力は無くても、できる限り頑張ります。
3...2...1......
ジリリリリと黒電話のアラームに設定したスマートフォンが鳴り響く。
その音に、真琴は時が訪れた事を実感した。
早速支度を始める。軽いもの、発泡スチロールの様なものがあるといいのだろうか?
とりあえず手頃な物を探すつもりで自室を見回すが、散乱したゴミと無造作に置かれた本の山で良いものが見つからず、こんなことなら直前までに掃除をしておくべきだったと真琴は後悔した。
明日しよう
明後日しよう
それが溜まりに溜まって、ゴミに囲まれたまま今日が来てしまった……
若干悲しくはなるが、今はそれどころではない。真琴は手に持った一枚の紙切れと、左腕に巻いた時計の様な形をしたブレスレットを交互に見る。
紙には所々マーカーで印の付けられた大量の文字が並んでいる。真琴の付けたマーカーの文字は、紙切れの重要な部分を指し示していた。某有名大学を出た真琴にとって、この程度の文字量からなら、要点のみを洗い出しそれを示す事は容易であった。
「えーっと、ブレスレットの長い針を左に回して……っと、結構硬いな」
マーカーで示された指示通りに動かそうとするが、思ったよりも針が硬く、動かない。針の根元が少し錆びている影響だろう。止むを得ず、指に力を込める。
が、動かない。
親指に食い込んだ針の横部分でじわじわと指に痛みが走る。
「かっ…たい!!」
ーーゴリゴリゴリィ‼︎
痛みで感じたストレスを原動力に、力づくで針を動かしたが、それは間違いだったと直ぐに気づく。
「巻きすぎたな……」
針が進みすぎて戻らなくなってしまった。困った事になったが、気にしない事にする。
少しのミスだし、どうせ、一度試して失敗したら、ブレスレットも紙切れも捨てるりなのだ。壊した所で問題はないだろう。
真琴はもう一度マーカーで塗られた文字を見る。
「針を巻いたら、ブレスレットの真ん中の突起に手を当てて……これか。んであとは……」
準備を進める。
「良し!」
全ての行程を終え、真琴は深呼吸をした。
本当に紙切れ通りになるとは思っていないが、紙切れの言葉の説得力に、僅かな希望、面白みが見えた。どうなるかは分からないが、期待を膨らませずにはいられない。
中指と人差し指をブレスレットの突起に当て、他の指は閉じた。さて、後は言葉を喋るだけ。
「ゴリライズ」
真琴は静かに、ゆっくり、はっきりとその言葉を口にした。
そして、変化はすぐに現れた。
腕に痛みが走り、目眩がした後、身体の中に何か得体の知れないものが入ってくる様な感覚がした。
意識が朦朧としてくる。
紙切れの通りに物事が進行している事に、真琴は驚きと興奮を覚えたが、少しずつその感覚も薄れていく。
(30歳……か…)
次起きた時には、紙切れ通りになっているだろうか。
眠りに落ちる直前、真琴はそのことを考えていた。
読んでいただきありがとうございました。
少しづつ更新していければと思います。