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最初のステップ

「さて、メイよ」

「は、はいパパ」

 魔王とメイのあいだに真剣な雰囲気が漂っている。

「これから、魔王とはなんなのかという、とても難しいことを話すのだが、覚悟は出来ているか?」

「も、もちろんです!」

「では最初に聞くが……メイにとって魔王とは何だ?」

「そうですねぇ……」

 沈黙がしばらく続き、

「何にも負けない、絶対に負けない王のことでしょうか……?」

 自信がないのか、疑問形だ。

「うむ。だがなメイよ。それでは我は真の魔王ではなかったと、そういうことになってしまうぞ?」

「で、でも!たとえそうだとしてもメイよりは真の魔王に近いはずですっ!」

 いつもよりメイのフォローには熱がこもっていた。

「それに! 勇者さんもパパは真の魔王だと言っていました!」

「それは、勇者の思う魔王がメイの思う魔王と違うという証明にしかならんぞ?」

「そ、それは……そうです……」

「……我の思う魔王とはな?」

「……魔王とは?」

「守りたいものを、守ることができるもの。そう、我は思うのだ」

 一言一言を噛み締めるように、大切に扱うように魔王は言った。

「守りたいものを……守る?」

「うむ。たとえ……」

「……たとえ?」

「たとえ、どのような手段を用いてでも、どれだけ己の身が傷つこうとも、な」

「……」

 メイは魔王のことをほとんど知らない。ただ、魔界の歴史において魔王と呼ばれたものがたったひとりだけだったため、今目の前にいる魔王を召喚しただけに過ぎない。

 それでも、今の会話の最中、魔王の瞳に力が、意思が明確に灯り、その炎は決して消えないと思わせるほど力強いものだということを知った。

「もしかしたら……」

「ん? どうしたメイ?」

「メイは、もしかしたらメイの思う真の魔王にはなれないのかもしれません。でも……」

「……でも……?」

「パパの思う、真の魔王には、絶対になってやると、そう思いました」

「そうか」

「はいっ!」

 そのあとは特に何事もなく、魔王の講義は進み、そして一日目が終わった。


「……はぁ……」

 魔王の口から、ため息がこぼれる。

 すべての家事を終え、自分の部屋に戻り、少し読書をして、そして今休憩をとり始めたところだ。

 人形の身体に、身体的疲労は蓄積しないということはわかったが、精神的疲労、つまりはストレスは蓄積するらしく、魔王は先程からため息を何度もこぼしていた。

「……三度目の正直、なのかなぁ……」

 一瞬、誰の声かわからなくなるくらいにその声は若かった。

 その様子を、ひとりの、いや一体の人形が見ていたことに、魔王は気づかなかった。

イェーイ早く完結させたいのに迷走してるよイェーイ

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