計画。
魔界においては、混血やハーフなどは特に問題視されることはない。
魔界が実力主義な考えであることに加え、純粋な魔族というのが存在しないからである。
だが、人間は違う。
人間にとって魔族は悪であるし、獣人種とのハーフですら忌避されている。
人間と魔族との間には、底の見えない溝が存在していた。
幸せとは何なのか。
何を以て幸せと為すのか。
そんな、答えのわからない問題を、魔王は必死で解こうとしていた。
第14代目、魔王。人間界に進出した唯一の魔王であり、人間である勇者を、人間の娯楽を好きになってしまった魔王。
そんな彼が出した解答は……残念ながら受け入れられることはなかった……。
勇者が己と同じ空間に来てしまったとき、彼は己の計画の失敗を悟った。
いや、彼がその空間に存在していたときから、己の失敗は予測できていた。
なぜなら彼は、消滅する覚悟を以てその計画に望んだのだから。
かくして計画は頓挫し、彼はまた計画を練ることになる。
最愛のものが幸せを得られるように。
勇者が幸せになれるように。
そして今回もまた、彼は間違った解答を出してしまう。
その結末は神のみぞ……いや、神ですら知らないだろう。
次回、最終回。