やっと私のターンです
今回は少し軽め。
「……えっ!? 私と……魔王の……娘!?」
魔王の言葉は、それまでトリップしていた勇者をも正気に戻す威力を持っていた。
「見事。お見事と、そう言ってあげようじゃないか!」
神ははしゃぎ。
「……まぁ、あくまで推測なのだがな」
魔王は勇者をなだめ。
「えっ、えっ!?」
勇者はこんらんし。
「「……」」
メイとイリスは黙ったままだ。
「うんうん。もう少し詳細を頼めるかい?」
だというのに、神はさらに追い討ちをかける。
「……魔力の質を見ればわかることだが、イリスはこの時代のものではない」
これ以上失うものはないとでも言いたげな顔で魔王は説明する。
「さらに、我と勇者に似た魔力を持っていたことも加味して、我はイリスを娘と判断した」
ただ、どうして娘ができたのかはわからんがな、とも付け加える。
「まぁ、その詳細の説明は、彼女がするんだけどね」
そう言ってイリスに説明を促す神の顔は、やることはやったとでも言いたげなものだった。
そして、張本人であるイリスの顔もまた、やる気に満ちたものだった。
「やっと私のターンですね」
そう言ってから、彼女は語り出す。
己の人生という物語を。
そして、己の目的を。
この時間ものすごい寒くて手もかじかんでるかも。




