第八話 ウィル の無理矢理な日常 5
ストック が切れました、なるべく早く書きます。
あと、何話か書きましたら、この世界の事を、ウィル 君の戦闘訓練の時に、座学で教えますので、この世界の事でなにか質問のある方、言ってください。
死屍累々。(死んでいない)
ぴくりとも動かないむさ苦しい男達の上で、勝利の雄たけびを上げる。
「ういいいいいいいいぃぃぃぃぃっっ!」
右の中指と薬指を曲げて、空高く宣言する。
僕の姿は満身創痍。あちこちがボロボロで立ってるのがやっとだ。
「 あのウィル様、お耳に入れなければならない火急のようが」
ツアール の声に我に返る。
「なに? 今、勝利の余韻に浸っているんだけど?」
「いや、ウィル兄ちゃん」
ロイガーが焦った声、語りかける。
「だからなに?」
「「囲まれてます」」
「はっ?」
その言葉どうり、三人と折り重なり気絶している漁師さん達を、魚人達が海から這い上がって槍を構え、威嚇しながら囲んでた。
「なんだこいつら?」
なんか見覚えあるようなシルエットだな。
「さあ? 聞いてみますウィル様」
「手足のような、尾びれと背びれが付いた魚人みたいだけど、意思疎通ができるのかな?」
魚と人を混ぜたような顔。否、全面的に魚の因子が強い。
彼らは続々と海中から姿を現していた。
これが全てなのか、あるいはまだ海中に仲間が多数存在するのか、分からない。
その動きは緩慢だが、恐ろしく力強いことがその外見から分かる。
ヨタヨタ…ドボンッ! 訂正、全然力強くなかった。
自重で片方の足をくじき、滑ってジタバタと海辺で暴れてる。
良く見るとあちこちの魚人が滑っている。
なんでこいつら無理して陸に上がってんだと、言いたくなった。
哀れすぎて、涙が出てくるのだが。
ふんぐるい…
むぐるうなふ…
魚じみた外見からは想像出来ないが、それなりの声帯を持ってるのか、不快な聞きにくい言葉で、なにやら合唱を始める。
良く聞けば、異形の言語と思える音節が混じってる。
これはまさか…。
「おそらく《深きものども》です。気をつけてくださいウィル様」
「こいつら嫌い」
ツアール からは忠告の声が、ロイガー からは嫌悪の声があがる。
「あっそうか、君ら対立神性だっけ」
対立神性。小説の暗黒神話体系クトゥルーでは、ほぼ、全ての邪神は仲が悪いのだが、その代表的なのが、《風》と《水》の神性、もしくは、《火》と《土》の神性だ。
え? それだけでは分からない?
僕だって、一度本を読んだだけなんだ。うろ覚えなんだよ、それ以上は突っ込まないでくれ。
「なんで今頃? 仕掛けてくるにしては、あまりにも時間が経ちすぎてる」
「 ソレハ 、ソイツラノ ニオイガ 、シタカラダ 」
「「私達の匂い?」」
ポンっと、二人同時に手を叩く。
「そういえば先程、指を切ったとき水洗いして海に流したっけ」
「あ~歯を磨いたとき海に、うがいした水を捨てたな」
「…」
ギギィと、錆付いた油を差してないロボットのように、双子をみる。
バッと眼を逸らすツアールとロイガー。
「おまえらかっ! おまえらの所為かっ!」
「「ゴメンなさい、ゴメンなさいっ!」」
謝る二人。
「まずいな漁師さん達が現状この状態では、戦いたくても戦えないな」
やばい、となるとあの手しかないか…やだな。
「主にやったのは、ウィル 様ですが」
「そうですね」
さっきの仕返しとばかりに、責める二人。
「…すみません」
幼女に謝る僕。なんか泣きたくなりました。
どちくしょう。
お読みくださり有難うございました