第七話 ウィル の無理矢理な日常 4
ご指摘のあった部分を、今から修正します
モグモグ 、んくんくっ!
次から次に鍋の具材が、双子の口に運ばれる。
ウツボは既になくなっている。量が量だけに全員に少しだけしか渡ってないのだ。
それで足りないので、双子は鍋を唯ひたすら貪る。
よっぽど美味しいんだろう、満ち足りた笑顔だ。
その微笑ましい笑顔に、その場にいる全員がほっこりする。
作った甲斐があった。
酒のツマミが無くなったので追加、魚を三枚に卸切り身にし鉄串を刺してタレを付けて焼く。
焼ける間に若布を洗い、茹でて酢醤油で和える。
「兄ちゃん、それも食わせてくれるのか?」
漁師の一番背の高い人が尋ねる。
「はい、それに」
漁師さんの言葉に対して首を縦に振りつつ、二人の方を見る。
「まだ食いそうだしな」
ご飯も既に五杯目に突入した。
「ところでご相談が」
「料理の料金か? 最近、海オークが海を荒らして漁に出れないから、魚があまり捕れないで金が無いんだ」
「お金はいいです。昆布と鰹節の使い方を見せる為に、料理して見せたんですから」
「良い人だな。それで相談とは?」
「この鰹節と煮干、昆布、他に食べられる海草について。作り方。調理法と作成方法、保存方法を教えるので、やってみませんか?」
その言葉に眼を細める漁師のおっちやん。
「兄ちゃんなにが目的だ?」
「実は、これらは製造するのに時間が掛かるんですよ、僕がこれを作る時間をひねり出すのに、どんなに苦労したか」
「それで?」
「あなた方が作ってくれたら僕は凄く助かります。しかも市場に売れば収入になります」
「売れるのか?」
疑い深く、此方を見る漁師さん。
「初めは売れません、今まで見た事がない物ですから。ですが目の前で実際に作って食べればどうです?」
はっとした顔をする漁師。
「なるほど味をみればその良さが分かる。具の少ない海草だけのスープだけでも掛かる費用は手間賃だけになるしな」
「しかも長期保存が利くので、腐る心配が殆どない」
「「「「「「おおおおっ!」」」」」」
「というわけです。この鰹節は材料は鮪か鯖でも代用は可能ですが、どうですやりませんか?」
「「「「「「やるぞおおおっ!」」」」」」
テンションのあがる漁師達を見て、ニッコリ笑う。
『バロン先生』
念話をバロンに繋ぐ。
『 ウィルか? 女体盛の真っ最中なんだが』
『ただの腹いせかと思いましたが…まあいいでしょう。ここの漁師さん達の鰹節を作る利権を、守るよう上の方に頼んでください。貴族や王族が、これの価値に気づく前に』
『価値? それにわしになんのメリットがある』
『今度好きな物をたらふく作って上げます。ご希望なら上の方々も一緒に』
『いいのかっ! それに価値とは一体?』
その念話に指を振る。
『いいですか、この世界は耐熱ガラスに缶作りの製造法もないんです。これらは兵站に最適です、もしこれを眼を付けられ規制されたら、一般に出回りません。そうすると僕が購入できないです』
『わかった、国王と学院長に打診しておく。だがそれだけではうまくいかんぞ』
『鰹節をふんだんに使った料理をご馳走します。それにこれらを大量に作るには人手が沢山いりますので、スラムの人間を使えば治安が少しは良くなるでしょう。犯罪の多くは食えない事が原因ですから』
『なるほど王は治世面で名声を手に入れ。学院長は献策したことで評価が上がるか』
『はい、うまくいけば餓死者を減らせますし、国外に売れますよ』
『わかった予算も此方で用意しよう』
『お願いします』
そう言って念話を切る。
「兄ちゃんなにしてんだ?」
「いえ、鰹節を作るにあたって、他に用意する物はないかと思いまして」
漁師さん達は、その言葉にばつの悪そうな顔をして頭を掻く。
「二つ程あるんだが、なんとかならないか?」
「なんです?」
「一つは、海オークが近海を荒らしまわって船が出せ無い事だ」
「そちらは何とかしましょう。それで、もう一つは?」
漁師さん達はツアールとロイガーを見る。二人はその視線になにか感じたのか、すぐさ此方に来て僕の後ろに隠れると、きゅと服の裾を掴みこちらを上目使いで見る。
そのしぐさが可愛いので、思わずそこにいる全員の、頬が緩む。
いやいやっ僕はロリではないぞっ!
それにこいつら、こんなキャラじゃないだろうっ!
「実は深刻な嫁不足でな」
「いや関係ないだろう」
僕は脊髄反射で突っ込む。
「若いのも中央に行って後継者不足なんだよ」
「聞けよおっちやんっ!」
「そこでだっ! その嬢ちゃん達を俺達の嫁にくれっ!」
「「「「「「お願いしますっ!」」」」」」
「ロリコンどもがっ! うちの子に何言ってんだっ!」
それからツアールとロイガーをめぐって殴り合っていました。
当たり前でしょうっ! 理由はどうあれうちの使用人と言ってたんだから。
なぜか二人共殴り合ってる最中笑顔だったが。
解せぬ。
お読みくださり有難うございました。ストック が切れました、なるべく早く書くつもりです。