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神様に拉致されました  作者: 柴犬
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第二十四話 終りのミスカトニック大学

 遅くなりました。

 申し訳ありません、色々考えさせられる事がありましたので、今回のお話で一応の完結とさせていただきます。

 ご指摘もしくは様々の事を教えてくれた方々すみません。

 次回作はもう少し上手くなるように精進させていただきます。

 今まで有難うございました。

 架空世界アース。


 魔都アーカムのスラムの一角。


「奴はどこに行ったっ!」


「向こうだっ!」


「行くぞ」


「「おうっっ!」」


 革鎧と剣を装備した冒険者風の男達が入り組んだスラムの路地を走っていた。

 慌しく誰かを捜しているようである。

 周囲は人影が無くなる。

 

 ヌルリ。


 突然静かになった路地のレンガの壁から腕が現れ、そのまま全身を晒す。

 現れたのは僕だ。


「やれやれ冒険者が僕に何の用かね…」


 冒険者が捜してたのは僕なのだが面倒なので幻術で隠れてやり過ごしていたのだ。

 最初は二十人程気絶させたのだが、途中で飽きて幻術で翻弄して逃走した。

 結果はこの通り。いまだに追いかけられている。


「まあいいか隠れ家にでも行くか」


 僕はその場を後にした。

 



 この都では貧富の差で住む場所が分かれる。

 収入がほぼ無い者はスラムの東へ住み着き。

 少ない者は切妻造きりづまづくりの狭くて安い部屋を借りるのが定番である。

 富裕層は中央にあるミスカトニック大学に近い所に住み分ける。

 これは意図したわけではなく自然とそうなったのだ。

 

 怪異。


 モンスター。


 そういったこの世界の住人の天敵に対抗出来る者が中央とスラムの東に存在するからだ。

 ミスカトニック大学と冒険者ギルド。

 前者は怪異を後者はモンスターを退治する事を得意としている。

 これは得意としているだけで専門としている訳ではない。

 元々は前者が両方に対抗していたが、その人数が極端に少ない為にその下請けとして冒険者ギルドを設立したのだ。

 しかしその設立理由かから冒険者ギルドはミスカトニック大学の下に見られる傾向にある。

 その為かギルドに所属する者はは表向きは従順な振りをしているが、ミスカトニック大学の者を敵視してしている奴らもいる。

 まあ何が言いたいかと言うと…。


「賞金首? 僕がですか」


「そうね先月の事件が原因よ」

 

 味噌汁を飲みながら疑問に答えてくれたのは先日【名も無き病院】で僕の護衛をしてくれた戦闘司書零号である。

 ここは夜襲対策としてスラムにある複数存在する僕の隠れ家の一つだ。

 広さや内装は詳しく教えるのは容赦して欲しい。

 何故かと言うとガラクタを組み立てて高レベルの幻術でそれらしく見せただけの物だからだ。

 非常時には幻術を消せば唯のガラクタに戻り完全ではないが足取りは消せるという寸法だ。

 朝一番に訪問してきたツアール達にご飯を提供していた。

 え? よく此方の場所が分かったなって?

 僕に用事があるという念話を貰ったから教えたけど、なにか?


「ウィル様お醤油を下さい」

 

「はい」


 朝食の焼き鮭に僕が手渡した醤油をかけるツアール。


「納豆美味しいねナルちゃん」


「うん」


 ロイガーとナルちゃんは仲良く納豆を食べてる。


「この梅干さいこおおおおおっ!」


 クトゥグァ梅干の酸っぱさに嵌って何個も食べていた。

 高血圧に気をつけろよ。


「ハアハアだな」


「たまらん御嬢達の食事風景なんぞ久しぶりだぜ」


 青い色と赤い色の戦闘司書は息を荒くして、カメラでツアール達四人を撮影していた。

 こいつ等こそがロリコンなのでは? と言いたい…。

 

「お姉さんに食べさせてもらいたいな」


 などと言いつつ漬物を食べるバロン先生。

 というかあんた、両手の傷はもういいのか?


「それで君らが僕を捕縛もしくは抹殺しに来たのか?」


 まあ少なくとも此処にいる四人の前世は僕の分身達に殺されたんだし仕方ないか…。 

 見知らぬ他人に殺されたり捕まるよりましか…。

 これで罪が償えるとは思わないけど…。


「「「「「「「「違う、違う」」」」」」」」


 僕以外の八人が片手を振る。


「はい?」


 コテン。


 首を傾ける僕。




「つまりミスカトニック大学に対する嫌がらせ?」


「そうね。冒険者ギルドってのは元々ミスカトニック大学の下請けとして設立されたの知ってるわよね?」


「まあ」


「その僻みで此方の失敗につけ込む真似をするの」


「なんでまた」


「憂さ晴らし」


「は?」


「だからね憂さ晴らしなのよ。此方に非がなければあっさりと引くぐらいの程度の低い嫌がらせなの」


「それにしては今回はピンポイントで僕を賞金首にしているみたいですが?」


 戦闘司書零号に僕は疑問をぶつける。


「「「「「「「「…」」」」」」」」


 戦闘司書零号を含む全員が呆れた眼で僕を見る。


「幻術王」


「はい?」


 魔人バロンが両手を上げて首を横に振る。

 僕はなんの事か分からず首を捻る。


「第二のアザートス様」


 ツアールがご飯を食べながら喋る。


「混沌の破壊者」

 

 ロイガーが味噌汁を冷ましながら飲み答える。


「不死身の魔王」


 ナルちゃんが追加の納豆を練り上げながら語る。


「万能なる最弱最強の魔術師」


 クトゥグァが梅干を次から次に食べながら言う。


「「青き月の死神」」


 赤と青い色の戦闘司書が口を揃えて言う。


「なんですそれ?」


「「「「「「「「あなたの二つ名です」」」」」」」」


「はい?」 


 ツアール達の言葉に僕の目が点になった。




「つまり僕が有名になったので運よく討伐できればミスカトニック大学の権威を落とせると思ったと?」


「そうなの、まあ魔人はミスカトニック大学の顔だしね、しかたないわ」


「はあ…」

 

 戦闘司書零号の言葉にため息がでる。

 

「まあ冒険者ギルドに圧力を掛けてるので暫くしたら落ち着くと思うけど、その間どこかで、ほとぼりを冷まして欲しいの」


「う~ん僕がギルドを脅迫したほうが早くないですか?」


 戦闘司書零号の言葉に僕は提案した。


「「「「「「「「やめてっ!」」」」」」」」


 そんなに嫌そうな顔をしなくても…。




 それから暫く僕の身の振り方を話し合った結果、以前から考えていたミスカトニック大学に学生として潜伏する事になった。

 表では普通の学生として裏ではバランサー養成科に入り、先月のような失態を繰り替えさないように。

 唯、問題が発生した。


「ウィル様と一緒に大学に行きたいっ!」

 

 というツアールの言葉が原因だ。

 その言葉を切っ掛けにロイガー達が自分も、我もと騒ぎ始めたのだ。

 理由を聞くと全員顔を赤くして答えを拒んだ。

 戦闘司書達はというと血涙を流しながら、これを了承した。

 何故に?

 



 さてミスカトニック大学は、マサチューセッツ州、魔都アーカムに存在する。

 ミスカトニック大学には現在、三つの顔がある。

 最初に、政治経済、英文学、心理学、考古学、人類学、歴史学などを教える総合大学としての顔。

 次に、魔術師を目指す者に有料で教育を施したり、或いは使い捨ての写本を売買する場所としての顔。

 最後に、世界の秩序を崩壊しょうとする者達に対抗する人材を育成、支援する所としての顔である。


 今回はその三番目を選択したが、身を隠すという目的もあるので変装する事になった。


「「「「可愛い」」」」


 僕の変装した姿がツアール達四人から絶賛された。

 なぜ絶賛されたかと言うと…。


「なぜ僕は子供になってるんだろう?」


ヌルが【肉体変化】のスキルで若返りさせたんだが』


 呆然とした僕の疑問に答えてくれるヌル。


『意味が分からないのだが?』


『今更元に戻れるとでも? 周りを見ろ』


 ヌルの念話に従い周りを見ると黄色い声をあげるツアール達がいた。

 

 …。

 

 今更元に戻りますとは言えないなあ。

 もう泣きたくなりました。

 

 こうして僕は姿を変えツアール達を従え大学に足を向けました。



 

 

次こそは面白い物を書けるようにがんばります。

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