第十七話 魔人ウィルと戦闘司書
遅くなりました。前回まで修整してます、ご指摘有難うございます。
この話もなるべく早く本編と同時進行で修整します。
~魔人ウィルの視点~
僕は魔力を失い気絶したナルちゃんとクトウグァを少し離れたところに寝かせておき、ツアールとロイガー、それに魔人バロン、それに戦闘司書と思われる見慣れない二人と合流した。
「あ~う~」
「いやあああああああああっ!」
僕の正面で赤面し恥ずかしさのあまり蹲るツアール
ロイガーに至っては恥ずかしさの余りブレイクダンスをしていた。
何故に?
その余りの速度に、残像で分身が出来ていた。
実像分身かい…。
などと現実逃避している僕はというと、ツアールとロイガーに土下座してました。
ええ、額を地面に擦り付けてです。
先程顔を上げて二人を見た時、顔を赤くして泣いてたので良心が痛みました。
ガチで。
『なんでヌルは折角…受肉したのに僕の中に戻ったの? 自由になれたのに』
念話で僕はヌルに質問した。
受肉。
過剰な魔力を精神世界から吸収した際に僕を除く全ての人格は【胡蝶の夢】の力で生身の肉体を持つにいたった。
なぜか上位人格のヌルも。
だがそれは定期的に魔力を吸収しないと実体を保てない 不安定な体。
その為、僕とは別の人格から殺されそうになった。
僕を殺せば蘇生した肉体を奪えるからだ。
当然の帰結だ。
誰だって安定した本物が欲しい。
それを助けてくれたのがヌルだ。
その後二人で魔力を奪われたナルちゃんとクトウグァを抱え逃亡した。
理由?
女の子を魔力電池にしようとする奴等の傍に置いておけるわけないでしょう。
あれが僕の別の人格だと思うと吐き気がする。
あいつら消滅させてやる。記憶? 知ったことじゃないね。
『おいおい僕がいないと【束縛の鎖】が使えないだろう…どうした?』
おっと少し前の事を思い出したらヌルと念話していることを忘れてた。
『悪いっ! 少し前の事思い出してた。話は変わるけど分身達を消滅させるのは無理かな?』
『あー難しいと思うな。時空系封印かここら辺りの魔力を枯渇させて消滅させるならなんとかかな』
僕の言葉にヌルは答えてくれた。
封印ね。
今は幻術だけで作ったは劣化版【鬼門遁甲八門の陣】で此方に来れないようにしてるけどそれも時間の問題だし。
殆どのスキルとスキルポイントを取られたのは痛いな。
此方の手元にあるのはスキルは、ユニークスキルに限定不死、短期間自動蘇生、隠蔽、追跡、自動翻訳、読み書き、万能知識、気配感知、並列処理、格闘、体術、幻術か…。
となると、幻術をLV7まで上げるしかないか…。
『いいのかそれで? ダメージを与えられないぞ』
『かといって他の戦闘系スキルを取っても無理があるだろう』
ヌルの念話に僕はそう答えた。
悩みどころだ。
此方の有利なところは僕が考案した全てのオリジナル魔術は向こうは使えないという所か。
その途端、鳥肌が立つような殺気を感じ素早く横に転がる。
爆発する大地。
すぐさま僕は立ち上がる。
そこで見たものは槍で僕が元居た場所を突き刺す、青い色で装備を統一した
戦闘司書。
いくら限定的に不死でも部分欠損は避けたい。
というかなんで?
「チッ…手が滑った。わざとじゃないぜ」
舌打ちする音がした。
青い方の戦闘司書から僕にわざとらしい声がかけられる。
「嘘つくなあああああああああああっ!」
舌打ちしたよね。誤魔化せると思ったのかよっ!
「まあまあ本人もわざとじゃないと言ってるじゃないか。足が滑ったなっ!」
今度は赤い色で装備を統一した戦闘司書が剣を振り下ろす。
僕の方へ剣の衝撃で大地が裂けた。
「危ないいいいいいいいいいいいいっ!」
それを間一髪で避ける僕。
「「運の良いやつ」」
「あんたら…」
僕は二人を睨み付ける。こんな事している暇ないのに。
そのまま見事なコンビネーションで此方に攻撃してくる。
「魔人バロンこいつらどうにかして下さい」
他の四人は役に立たない、ならばと魔人バロンに助けを要請した。
「…」
顔を青ざめて首を振る魔人バロン。
「おいっ!」
最強はどうしたっ!
「「タマとったるううううううううううっ!」」
殺気をふりかざし武器を振る二人。
「もはや誤魔化す気ねええええええええええっ! このキチガイども」
その時辺りにガラスの砕けるような音がした。
劣化版【鬼門遁甲八門の陣】が破られたのだ。
僕が来た方角から八人の別人格達が現れた。
有難うございました。




