第十一話 双子神の戦い
遅くなりました。修正と設定の練り直しに時間が掛かりました。ご指摘された方、有難うございます。現在1~6話まで修正し、七話はこれからします。
次のお話は完成しだい投降します。
~ツアールとロイガーの視点~
私達は漁師達を守りながらミスカトニック大学を目指し、バロン様に念話を繋ぎました。
『バロン様すみません。応援をお願いします』
『君らが応援ではなかったのかね?』
『ドジを踏みました。ウィル様が殿に』
『まずいな…』
『あのう、なにが?』
『此方の話だ。すぐ行く』
首を捻りながら漁師さんに、アイテムボックスから取り出した剣と木製の盾を渡しておく。
ロイガーは本来の主武器を取り出す。女性の髪を編んで作った紐で繋いだ黒い短剣を両手に装備した。
鋼にミスリルを混ぜ込んだ短剣は総じて高価な魔法剣の中で一番安いものだ。 その短剣の柄は【魔力】や【気】を通しやすい女性の髪を編んだ長い紐で結ばれている。
《双飛短剣》そう呼ばれる武器は大陸で考案された武器だ。
この武器は切る刺す投げる紐で動きを封じる、などの多目的な攻撃を可能とした武器だ。
魔術を使えないロイガーは、代わりに【気闘術】使える。気を込めた短剣はありえない軌道を描き、敵に襲い掛かり次々に屠っていく。
LV3 【躁気術】を応用した戦闘方法だ。
「一…五…十匹とっ!」
ロイガーはまるで踊るかのように次々と血の海をつくり上げる。
「妹に負けられないわっ!」
私はあらかじめ作っておいた鉄の玉と自分の手の平に同極の磁力を発生させ、両者の反発する力を利用し弾丸の如く鉄の玉を放つ。
LV3 【磁力弾】という魔術だ。
鉄の弾丸を飛ばして皮膚を裂き肉に食い込ませ、《深きものども》は赤い花を咲かせる。
「一…五…十匹」
二人で二十匹を瞬く間に殲滅した。その様子に漁師さん達は唖然とする。
ようやく数を減らしたかと思ったら、その前を阻む《深きものども》達。
移動速度こそ遅いが、その腕力は脅威だ。
槍を叩きつければ石のレンガを砕き、刺せば鋼を貫き、払えば木製の盾を砕く。
ただし、手が指でないので時々槍がすっぽ抜けるが…。なんであの手で持てるんでしょう?
「このいい加減にしなさいっ!」
能力と記憶の一部を封印されているとはいえ、本来敵ではないのだが、足手まといがいるせいで、中々ミスカトニックに行けなかった。
「姉様っ!」
追加で今度は別の《深きものども》が現れる。その数五十匹。
「イイカゲン 二 アキラメルンダナ」
「くっ! …第一封印術式限定解除。いあ! いあ! つあーる くふあやく ぶるぐとむ…」
四つのグループに別れるバランサーの中で、私達のグループのみに許された手札の一つ、封印された能力の一部を限定的に解放しようとした。
「姉様駄目ですっ! 漁師さんが」
ロイガーの言葉に踏みとどまる。まずい…漁師さん達には色んな意味で、封印を解放した姿を見せられない。
だけどどうします? このままではいずれ…。
「カンネンシタカ?」
《深きものども》の一人が不快な笑い声をあげる。
「それはないなっ! 来たれ【バルザイの新月刀】」
その言葉と共に無数の、白銀の刃が《深きものども》を蹂躙する。
《深きものども》の悲鳴が辺りに響き、血の雨が降り注いだ。
その中から、見知った顔の三人の人影が現れた。
お読みくださり、有難うございます。




