来世
結婚したよ。好きな人と。
嬉しかった。向こうも好きで。
愛してたんだ。ずっとずっと。
「嫌いだった! そういうところ…」
待って待って、無理してる。
嘘だよ、そんなの。
本気じゃないよ。うん、分かってる。
「私の他にも好きな人がいるんでしょう!?」
誰それ? そんなの知らないよ?
「金曜日に会ってたでしょ!」
知らない知らない。やめてよそんな冗談なんて。
僕は君しか好きじゃない。薄い言葉なわけないだろう?
僕が君を愛してることは知ってたんじゃなかったの…?
「嫌よ! いやいや! 今の私の中に入って来ないで!」
そんな…僕は、きっと一人で踊ってた人形に過ぎず、飽きたら捨てられる?
僕はただの兵士。女王を敬愛するだけの兵士。そんな気持ちに応えるように、戦場で無駄死にする。
「…そうか。分かった。君が僕を望まないなら、君と僕が一緒になんていられない」
「ごめん…ごめん。酷いこと言って…」
今更許してなんて言ってはくれない、分かってる。君はきっと、落ち着いて、自分の非を認め、許しを請いたいんだろう。
でも、プライドとかそんなものにある意味自縛されて、そんなことは言えないんだ。
分かってる。それが君だもの。
僕が多分許してしまうことも君は知ってるんだ。それに甘えたら負けだって思ってる。
「泣いたらダメだよ。君の方が」
強かったんだから。
君のいない朝、昼、晩…つまんないな。
好きな人と過ごせない毎日がつまんない。
終わる? それもいいかも。
「へえ…火曜日か」
僕は次も君を愛するだろう。
次はどうか晩年まで過ごしたいよ