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目指せ!異世界平和‼︎  作者: せきぽん
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第七話 communication

あけましておめでとうごさいます。

「で?俺はあと何分ぐらい待ってればいいんでしょうか?」


「大丈夫!」


「って言ってもう5分は経つんじゃないのか?」


「気のせいよ!」


ケルベロスをなんとか討伐し、涼風と合流した俺は変な所で足止めを食っていた。

いや、足止めを食っていたのは俺達なのだが、その原因が涼風にあることから素直に俺達とは言いきれないだろう。

悪いのはいつまで経っても立ち上がろうとしない涼風だ。怪我が酷いなら無理しなければいいのに、それを強がっているからこんな現状なのだ。


「強がるのはいいけど、お前の仲間はあそこに放置でいいのか?」


「……わかったわよ」


涼風は小さくそうつぶやくとゆっくりと立ち上がった。その様子はまるで産まれたばかりの子鹿のよう…


「って、全然ダメじゃねーかよ」


「大丈夫っ!」


その瞬間、バランスを崩した涼風は背中から地面に倒れていく。


「っ!」


とっさに俺は涼風の手を握った。

なんとか涼風は地面に倒れるのは防ぐことが出来た。


「……ありがと」


「だから言っただろ。普通そういう状態を大丈夫、とは言わないんだよ」


「……」


「ほら、乗れよ。お前1人ぐらいなら背負ってやるよ」


「………………」


先程より少し長い沈黙のあと、涼風の華奢な身体が俺の背中に乗っかる。

こいつの中ではかなりの葛藤があったようだが諦めてくれたようだ。全く面倒な女だ。


涼風は俺の背中に乗ってから一言も喋らなくなってしまった。なんだよ気まずいじゃねーかよ…







涼風をおんぶして、涼風の吐息や背中に当たる柔らかい感触に慣れ始めた頃。俺達の間に流れる気まずい雰囲気を悟ったのか、涼風が急に話しを振ってきた。


「そういえば、今更だけど私あなたの名前聞いてないんだけど?」


本当に今更だな…

ここまで来ると今更自己紹介とか恥ずかしいだけなんですけど。わかるだろ?普通。

てか、気まずい雰囲気からなんでそんな話題出してきたんだよ。


「じゃあ、ジョン・スミスということで」


「は?馬鹿にしてんの?」


「……ごめんなさい」


なんとか誤魔化そうとしたのに、完全に叩き潰されてしまった。


「一応言っておくけど、あなたの名前はケータイを盗んだ時に見て知っているの。だから変な嘘ついてもすぐ分かるわよ。

それにしてもあなたケータイ、パスコードロックすら掛かってなかったから驚いたわ。

それもなんだけど、もう一つ…あの連絡先の少なさはなに⁉︎親と数名の男友達しか入ってないんじゃないの⁉︎その男友達の数も二桁にも満たないし。あんなケータイ持つ意味ある?」


この女。言わせておけば俺の気にしていることばかり突いて来やがって。ケータイって言っても最近は色々出来るし。ゲームとかするし。

某パズルゲームとかランク300ぐらい行ってるし、無課金だし。


確かに俺はあっちでは中二病という設定もあってか女性にモテない所か男にもドン引きされる日々だった。そこに登録している奴でも実際に連絡をとったのは半分程度か。


中学卒業前に一応という前フリの後にメアド交換してそれっきりの奴とかの方が多い気がする。あの気を使ってくれてるのが一番傷つくんだよね。


「てか、知ってんなら俺が自己紹介する意味ねーじゃん?」


無意味な事で恥ずかしい思いをするのは御免だ。


「そんなことないわよ。あのね、こういうのは形式が重要なのよ。

そういうのをしっかりしておかないと後でなんて呼べばいいか分からなくなったり、第三者にあいつ友達なの?って聞かれたときに素直にYesって言えなくなるのよ。

それに呼ぶときなんて呼べばいいかわかんなくなる時とかない?

そんなんだから友達少ないんじゃないの?」


急にペラペラ話始めやがった。

確かに俺にもそういう経験が無いわけではないが。俺に友達が少ないのは中二病のせいだし。


「あ、もしかして自分の友達が少ないのは中二病のせいだとでも思ってる?

言っておくけど、私の友達にも中二病の痛い子いるわよ。でも十分友達にも恵まれてるし、重要なのはコミュニケーションよ。

というわけで、ほら、早く自己紹介しな山城智一君?」


こいつ俺の心を…

なんか、すげえ悔しいんですけど。

認めない。認めないぞ。負けたわけじゃない。

勝てないだけだ。


「山城智一。17歳。彼女いない歴17年。中二病歴4年。魂名(ソウルネーム)はアイス・カイザー。使用魔術は氷。サブウェポンは双剣。以上」


「はい。お疲れ様。よろしくね!山城君」


そんな可愛い声で耳元で名前呼ばれたら、憎たらしいとか思ってたのがどっかに消えるからやめて欲しいんだけど。


「それにしても、山城君。氷魔術とかすごいね。それって魔神の属性だよね。今まで大変じゃなかった?」


俺は盗賊の頭のザハルとかいう男が俺の氷魔術を見たときの表情を思い出していた。

奴の表情はまさしく恐怖そのものだった。


こっちの世界に来て、この力の意味を知って、

ずっと隠しながら過ごしていた。実際に恐怖される辛さというものを全く味わったことがなかったからショックも小さくはない。


「そうだな」


少し暗い雰囲気になったのを察したのか、涼風はすぐ話題を切り替えてきた。


「それより山城君のサブウェポンの双剣、どこかで習ったの?やけに様になってるように見えたけど?」


サブウェポンというのは使用する武器のこと。メインウェポンとはその魔術師が主に使う魔術の属性を指す。


「俺の剣術は独学というか、現世で結構色々ゲームやってたからその辺りから型を作っていった感じだな。自分流である事には変わりないか」


あっちでは特技は?とか。趣味は?とか質問されると必ずゲームは入れていた俺だ。

中二と合わさって技の練習とかもしてたし。

爪竜⚪︎牙斬使えるし。


「俺の剣よりお前の銃の方がやばいだろ?

あれなんて魔術なんだ?是非とも俺にも教えて欲しい」


「それはムリよ。神装は私専用なの。この力をどうやって手に入れたかは他言しちゃダメなルールなの」


そういった涼風の言葉は固く、ここからおねだりしても絶対教えてはくれないだろうと思った。


残念だ。

まあ強力な力だ。色々と対価とか制約があっても不思議ではない。


にしても武器を出すあの力もすごいが涼風の銃火器の扱いもすごい。RPG2つ持ちとかしてたしな。実はターミネーターなのかな?

異世界から来たてんのは嘘で実は未来から送り込まれたんじゃ?


「イテっ」


俺の頭が小突かれる。

けっこう痛い。


「あなた今凄く失礼なこと考えたでしょ?

顔に出てたわよ」


どんな顔だよ!

こいつの読心術は本当に危険な気がする。


そんなこんなのやりとりをしている間に元いた教会に戻ってきた。


これまでの話で設定上、矛盾が発生する点が数カ所ありましたので改稿させていただきました。


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