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目指せ!異世界平和‼︎  作者: せきぽん
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第四話 2人のアジト攻略戦

涼風との勝負に勝った俺はそのまま一緒に赤竜の牙のアジトに乗り込むことを許された。

奴らのアジトは昔使われていたっぽい教会だった。


「で?どうするんだ?RPGで建物ごと破壊するか?」


「そんな事出来るわけないでしょ!中に人質がいるのよ⁉︎……作戦を説明するわ。勝つ算段はしてあるから気楽にやって貰っていいわよ」


というわけでミーティングタイムを済ませ、配置に着き作戦決行。


まずは涼風がRPGで教会のドアを吹っ飛ばす。

RPGによる爆発音が辺りに響く。

木っ端微塵になったドアから赤竜の牙の下っぱと思われる奴らがゾロゾロと出てくる。

こうしてみるとただの盗賊にしか見えないな。


出てきた下っぱ共は遠距離からの涼風のスナイパーライフルによる狙撃で倒していく。

どうやら涼風はデザートイーグルやRPGの他にも色々近代兵器を出すことができるらしい。

今回の銃はデネルNTW20だった。しかも暗視スコープとサイレンサー付き。おれも詳しくは知らないが現世のミリタリー好きの友達が言うには最高のスナイパーライフルらしい。

銃の性能のせいか凄い勢いで敵を倒していく。


それを見届けた俺はすぐさま教会の裏口に回り込んだ。

そう、作戦とは涼風を囮に俺が人質を救出するという陽動作戦。


作戦通り俺は裏から教会に侵入し、祭壇ので縛られている人質数名を発見できた。そのまま救出!と行きたい所だったがそこまで上手くは行かない。


発見し、辺りを警戒しつつ人質に接近する。

しかし、あと少しの所で火炎が俺に向かって飛んで来た。

バックステップでなんとか回避できたが、次々と火炎は飛んでくる。回避しつつ右手は左腰、左手は左肩の、という俺独特のフォームで剣を抜き構える。


このフォームは誰かに教わった訳ではないが、右手だけで戦ってるときに右腰に剣が差さっていると邪魔なのでこういう形にした。

べ、別に…ちょっとやってみたらカッコよかったからとかじゃないんだからね!


剣を構えた所で攻撃が止まり敵が姿を現した。


「やはり外の爆発は陽動だったか。にしてもあの女に仲間がいるなどという情報は得ていないが……貴様、傭兵か?いくら積まれたかは知らんが奴は貴様が命を掛けるに値する程の金は持っていない。さっさと帰った方が身の為だぞ」


顎にヒゲを生やしている、いかにも悪役のリーダーっぽいおっさんがローブ姿の怪しい美女を数名連れている。


おっさんは知らんが後ろの奴らは魔術師か。


この世界で魔力を使役する者は二種類に分けることができる。分別の方法は簡単。

この世界には魔力を使用する技は二種類ある。魔法と魔術だ。主に魔法を使う者を魔法師と呼び、主に魔術を使う者を魔術師と呼ぶ。


魔法は威力こそ凄まじいが発動までに時間が掛かる。それはどこの世界でも一緒だな。

まあ、魔法は知識と魔力さえあれば誰でも使える。


対して魔術は詠唱とか供物とか無用だが、適正と才能がないと使えないし、人によって使える属性が違う。威力も魔法には圧倒的に劣る。

なので魔術師は武器と魔術を組み合わせ戦う。


目の前にいる美女たちは魔術師だろう。

で、おっさんがリーダーか。

このおっさんには勿体無いな。というか羨ましいな、こんな美女に囲まれて…

このおっさんは思いっきり全力で叩きのめす事にしよう。


「黙って突っ立ってないでさっさと出て行ったらどうだ?」


「貴様がリーダーか?」


「は?」


「貴様がリーダーなんだな?」


「そうだが、それがどうした」


剣を収めてから話を始める。


「よいか⁉︎心して聞くがいい!我が名はアイス・カイザー!貴様らを倒すのに命を掛ける必要があるほど私は弱くない!それに金も心配無用!私は貴様らから奪いに来たのだ!

改めて言おう、人質をとる貴様らのような卑怯者共はこの私、アイス・カイザーの敵ではない!その人質と有り金を全て渡せば命までは取らずにいてやろう!さあ、どうする⁉︎」


中二病スイッチ入っちゃったな〜

興奮するといつもこうなるんだよな。


「ふん!交渉は決裂という訳か。アイス・カイザーなどという名は聞いたことがないが、自らアイスを語るということがどういう事か分からない訳では無いだろうに…俺は赤竜の牙リーダーのザハル!見栄を張るのは自由だが相手を間違えたな!」


ザハルが背中の大剣を抜き襲いかかってきた。悪党ってのはみんな大剣を使う習性でもあるのか?


「……双剣抜刀、十殺剣(じゅうさつけん)っ!」


十殺剣。俺流剣技の一つ。二本の剣で同時に居合い切りをすることで十字の剣筋をつくる。

カッコイイだけでなくガードするのが難しい技になっている。


「うお!」


ザハルは左手の上からの剣は受け止めたが右手の攻撃は予想していなかったらしい。

勝ったと思ったがザハルはデカイ図体の割りに意外と機敏に動く。ギリギリの所で避けられた。しかし浅いが、傷をつけることはできたようだ。ザハルの腹から血が出ている。


「ふん!相手を間違えたのはどちらかな?」


「くっ!なにをしている!早くこいつを殺せ!」


さっきと同様、次々と火炎が飛んでくる。

なんとか回避は出来ているが、敵の魔術師の数は七。このままでは不利だ。

あれを使うか?いや、人質の目もある。

ここではまだ使えない。


「フハハハ!アイス・カイザーとやらも炎には弱いかな⁉︎口程にもない⁉︎これ程度か!自分の実力も分からず敵に挑むとは愚かだな!それ程の理由があったか⁉︎まさかあの女に惚れてんのか⁉︎フハハハハハ!」


ブチンって音が聞こえた。

どこからか?俺の頭から。


ふざけるなよ。数のおかげでちょっと有利になったからって調子に乗りやがって。


今までより大きい火炎が飛んできた。直撃コースだ。


俺は避けず、剣を収めて、ただ手をかざした。


「……氷壁!」


俺の目の前に氷の壁が作られる。火炎は氷壁に

ぶつかり、消えた。


「フン!これ程度の魔術で我が氷を溶かすつもりだったとは笑わせる。こんな火では暖房にも使えんな。フハハハハ!」


氷壁は消えていく。しかしザハルの驚きは消えないようで…


「なっ!まさか本当に氷の魔術を⁉︎しかしそれは魔神ブリューナクしか使えないはずじゃ…」


そう、氷魔術というのはかつてこの世界の闇を創り出したと言われる神。魔神ブリューナクが使っていたと言われる伝説の属性なのだ。

伝説は伝説でもそれは恐怖と畏怖の伝説。

闇が滅んだこの世界ではどこに行っても歓迎されることはない。


「だから言っただろう。我が名はアイス・カイザーだ、とな」


ここで決めポーズ。

このポーズ、今まで幾度となく鏡の前で練習しただけあって完璧に決まっている。

これを使っておかしくない日が来るとはな。

泣いていいかな?


「クソ!もういい!打ちまくれ!魔力切れに追い込めばいくら氷の魔術師にでも勝ち目はある!」


それはお前らの魔力に関しても同じだと思うのだが、ザハルも恐怖で普通の状況判断も出来なくなっているようだ。


後ろの美女達が再び火炎を放とうとするが、発動の前に銃で撃たれ次々と倒れていく。

ちょっとショック…


「お待たせ。よくわからないけど、あなたも随分と変わった能力を持ってるのね」


陽動役をやっていた涼風がP90をザハルに向けながら現れた。


「外の奴らは?全部殺ったのか?」


「ええ。奴ら何が起こっているのかも分からないまま全滅だったわ。スナイパーも意外といけるみたいね」


可愛い顔して恐ろしいことを言う奴だ。

バイオハザードで主役を演じたらいい感じになりそうなレベルだな、これは。


「クソ!使えない奴らめ!女一人殺せないとは!こうなったら…」


ザハルの視線が段々影が薄くなっていた人質に向けられた。

ああ、お決まりのパターンか…


「てめえら二人とも動くな!さもなくば人質の命はない!」


やるなら最初からやれよ…


俺は涼風とアイコンタクトし、作戦を決行する。このパターンはもう予想済みだ。


「わかった!武器を捨てる!だから人質の命だけは助けてくれ」


そう言ってから俺は剣を一本ずつ抜き、ゆっくりと地面に置いた。


「よし、いいだろう。そっちの女も…っ!」


俺の方をザハルが見ている間に涼風はすでにスナイパーライフルの標準をザハルの頭に合わせていた。


「さよなら」


スナイパーライフルから放たれた銃弾はザハルの眉間を貫通し、奴の命を奪った。


「ミッションコンプリートだな」


「お疲れ様。本当にありがとう」


その時の浮かべた涼風の笑顔は作り笑いだということは今日見知ったばかりの俺でもわかった。


しかしまあ、一件落着かな。








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