第7話
僕らは、めでたく恋人になったわけだが、
そろそろ卒業になる。
「太陽は、進路どうするの??」
「俺は、獣医になりたいから、大学に行くよ。」
「そっかぁ。あたしは、普通に女子大なんだぁ。やりたいこと今はまだないし。
太陽が羨ましいなぁ。」
「そうでもないよ。
愛心だって、これから、大学に行って夢を
探せばいいんだよ。」
「へへツ。そうだよね!!
あたしも、太陽に負けないように夢,
探すね!!」
そういった愛心は、笑っていた。
あの日から、愛心は泣いていない。
いつも、笑顔で、僕のそばにいてくれた。
僕は、幸せだったんだ。
彼女に好きだといって、彼女もまた
好きだと言ってくれる。
いつまでも、こんな日々が続くと思っていた。
そして、まだ冬の寒さが残る3月。
僕たちは、高校を卒業した。
2004年のことだった。
「太陽!!
卒業おめでとう!!」
「愛心もな!!」
「うん!!ねぇ、太陽。ボタンちょうだい!!」
「はぁ??ボタン?」
「うん、制服のボタン!!ほら、好きな人にもらうってやつ!!」
「学ランじゃないのに??」
「太陽のなら、なんでもいいの!!」
「ふ~ん・・・。」
(女って、こんなことが嬉しいのか?)
そう思いながら、僕は愛心にボタンを渡した。
「ありがと!!!」
愛心は嬉しそうに笑っていた。
これから、僕たちは別々の大学に行き、
違う生活を送る。
そんなことに、不安がなかったわけではないが、
僕も愛心もお互いを信じていられたから、
きっと大丈夫だと思っていたんだ。