第5話
病室の外には、愛心がいた。
愛心はまた泣いていた。
「ありがとう・・・・太陽・・・。」
彼女は泣き虫だ。
(そんなに中居が好きなのか・・・・)
僕は、彼女の頭を撫で、何も言わずその場を去った。
あれから、彼女は僕の前に姿を見せなかった。
いや、僕が避けていたのかもしれない。
このまま、僕は彼女への想いもなくなるだろうと
そう思っていた。
3年になり、受験生になった僕は、あることを耳に挟んだ。
それは、晃男からの言葉だった。
「おい、太陽!この前さぁ、和食屋で
中居光輝を見たぜ!
あいつ、板前になってた!
マジ、びびったよ!てっきり、ヤバイ仕事でもしてんのかと思ってたわ。」
「へぇ〜・・・・。」
僕は、聞き耳を持とうとはしなかった。
そんなとき、僕は愛心と廊下ですれ違った。
「太陽・・・・久しぶり。」
愛心はそう言った、少し元気がなかった。
僕は、
「あぁ・・・・。」
沈黙が続いた。
「それじゃ・・・・」
俺は、そう言って、愛心から離れた。
何も言えなかった。
何も聞けなかった。
僕はただ、愛心の顔を見るのが精一杯だったんだ。
いや、聞くのが怖かった。
僕の中に、愛心への気持ちが残っている。
この気持ちはいつになったら消えるんだろうか。。。
そう思いつつ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、寒い冬がやってきた。
僕は、進路について、先生と話していた。
「僕は、獣医になりたいんです。
だから、そっち方面の大学に行きます。」
僕は、そう言って、部屋をでた。
そのとき、一人の女の子が僕に話しかけてきた。
「杉浦・・・・太陽くん??」
「え?・・・・そうですけど。。。」
「あたし、愛心の親友の有坂遊里」
「はぁ・・・・。で、なんすか?」
「これ、愛心から預かってきた。」
そう言って、彼女は一通の手紙を僕に渡して、帰っていった。
僕は、なにがなんだかわからず、とりあえず
家路についた。