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第3話

2年になり、クラスが変わった。


でも、違うクラスだからできることがある。


「太陽!!国語の辞書持ってない?忘れちゃって。。。」


「またかよぉ。いいかげん持って来い!

ほら!!」


「ありがとう。」

忘れ物をしたら、必ず彼女はやってくる。

そのときの笑顔が僕は嬉しくて、たまらなくなる。


そんなとき、珍しく彼女から一緒に帰ろうと誘ってきた。


「愛心から誘うって。。。なんかたくらんでんの?」


「失礼なツツツ。たまにはいいかなぁって、お情けで誘ってあげたのに!」


「なんだそれ。」


「それは冗談だけどさ。相談したいことがあって・・・・。」


「相談?恋愛系は勘弁だかんな。」


「いや、恋愛じゃないけど。。光輝って覚えてる?


「光輝?・・・・・・・あぁ、覚えてるよ。」


「光輝、あたしの幼馴染なの。一年の頃、付き合ってた。

昔から好きだったんだけど、悪い先輩らとつるむようになって・・・

もともとはね、すごく優しいの。

あたしにも、周りにも。

でも、去年の冬に別れたんだ。

今は、もう吹っ切れてるんだけど、光輝をちゃんとしてあげたいの。

今、なんかヤミ金の借金取りをしてるみたいなんだ。

どうしてあげたらいいのかなぁ。」


「おい、もろ恋愛じゃないか!!

まぁ・・・・・・・俺は中居のこと全然知らないし、どうしたらいいかなんて

わかんねぇけど、本人がそれで、いいと思ってやってることだったら、いくら愛心が言ったって聞かないと思うけど。

それでも、なにかしたいなら・・・・・・・

説得しかないんじゃね?」


このとき初めて、俺は自分が愛心を好きなんだと

気づいた。

中居に対する、やきもち、葛藤。

これが好きってことなんだと思った。



しばらく沈黙で歩いていると、小さな公園が見えてきた。


キャァァァ。。


突然の愛心の叫び声に驚き、愛心が指差すほうに目をやると

血まみれの人が倒れていた。


「光輝!」


愛心がすかさず、駆け寄っていった。

そこには、殴られ苦しんでいる中居がいた。

こんな、人の姿テレビでしか見たことなかった。


中居はすぐに救急車で病院に運ばれた。

病院について、愛心は泣いてばかりだった。

(愛心はまだ、中居が好きなんだなぁ)

おれは、不謹慎にもそんなことばかり

考えていたんだ。



中居は幸い、命には別状なかった。



俺は、帰ろうとしたが、愛心が一緒にいてというので、一緒に

中居の部屋に入った。


「愛心・・・・助かったよ。ありがとう。」


1年ぶりに見る、中居は同級生には見えないくらい大人だった。


「光輝、もうやめなよ。そんなんしてたって意味ないよ。

今回のこともそうだし。もう一度、高校に行こうよ。

光輝、シェフになりたいって言ってたじゃん。」


「俺は、もう高校には行かない。

そんな夢、もう忘れたよ。


もう帰れよ。もう俺たちは住む世界が違うんだ。」


「どうして?光輝はそんなやつじゃなかったでしょ。

おかしいよ。自分が本当に今の仕事をしたいの?殴られて・・・・・

こんなになってもしたいことなの?」


愛心は必死だった。

目には涙をこらえて、必死に説得していた。


「うっせーんだよ!!

いくら、愛心でも、これ以上言うとゆるさねーぞ。」


「おい。その言い方はないんじゃないのか?

愛心がどんなに心配してんのかわかってんのかよ。

お前がどんな仕事しようが、関係ねぇーけど、

いちいち言われたくないんなら、心配かけるようなこと

してんじゃねーよ。」


そう言って、俺は愛心の手をとって

部屋から出て行った。


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