第10話
そして、愛心はすっかり元気になって病院を退院した。
「う〜ん!!!やっぱり外の空気が一番だよね!!」
背伸びしながら、愛心は笑顔でそう言っていた。
太陽の光が愛心の顔に当たって、キラキラしていた。
(愛心・・・きれいになったなぁ・・・)
「よし!!愛心、飯でも食べにいくか!!!」
「マジ??おごり??」
「もちろん!!退院祝いだ!!」
「やったぁ!!!」
そんな、なんでもないことを言いながら、僕たちはバスに乗り
繁華街に出かけた。
その日は、愛心の好きなハンバーグを食べに行った。
とても幸せそうにハンバーグを食べている愛心はまるで、子供のように
可愛くて、抱きしめたいと思った。
「太陽は、あたしのこといつから、好きになってくれたの??」
「ゴホツツツツ・・・!!!」
「何だよ!!急に・・・。」
「だって、こういうときにしか聞けないんだもん・・・。」
そう言った愛心は悲しそうにうつむいてしまった。
「今、思うときっと一目ぼれってやつぢゃったかもしれん。
一年のとき、愛心は、中居に説教みたいなこといったぢゃん??
そんときから、多分好きぢゃたんぢゃと思うわ。」
「えぇぇ!!マジ??
全然しらんかったわ!!!」
「愛心こそ、いつから俺のこと好きになってたんだよ・・・。」
「おしえなぁ〜い!!」
そんなことを言う愛心に僕は、
「あっそ。」
とだけ返す。本当は、
(え?なんで?なんで言わないんだ?本当は、好きじゃないのか?)
なんて思ってるんだけど・・・。
「うそだよ!!!
あたしは、いつからかな。
光輝と一度、よりを戻したの。
楽しかったし、嬉しかったんだけど、いつも太陽のことが気になっていた。
でも、話せると思っていたから・・・。
それから話せなくなって、好きってことに気づいたっていうか・・。
好きになったのは、きっと仲良くなってからだと思う。」
真剣に話している愛心がいとおしく感じた。
「ありがと。これからもよろしくな!!」
「こちらこそ!!」
そして、僕らはその夜、初めて一つになった。
付き合って3ヶ月目のことだった。
僕は、きっと世界で一番幸せなんじゃないかと思うくらい
嬉しかった。
そして、愛心も幸せだと言ってくれたんだ。
このとき、僕は愛心を絶対に幸せにしたいと
心から思ったんだ。