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悪魔と神の子  作者: Leone
第一章 時のはじまり
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第8話 新しい仲間

 シオーネと付き合い始めて一週間。

 シオーネは俺が何とか説得したおかげで、今日も授業を受けている。

「なあシオーネ、ここ分かるか?」

「わからない……」

「俺もちょっとここは悩んでるんだよな」

 こんな平凡な日々はいつまで続くのだろうか、できれば少しでも長くと思いながらシオーネと話をしていた。

 俺は悪魔だがシオーネを巻き込むことはできないから、できるだけのことはしようと思っているが、実を言うとかなり自信がない。

 なぜなら、俺は一度だけシオンという友達を巻き込んでいるからだ。うまく言いくるめたが・・・。だから、どんなに気になろうが俺はやぶをつついたりはしないようにした。

 ここしばらくは、ルシファーたちにも会っていない。しばらく羽目を外すとあいつらは言っていたからだ。もちろんその辺にいそうな悪魔にも会ってはいない。

「はあ…………」

 俺は深くため息をついた。

「どうした?マシュー」

「いや……何でもないよ!」

「うーん、何か変だと思うんだけど……」

「そんなことないよ!」

 ちょっと感付かれてしまった。そう思ったが、

「まあ、何でもないって言うならいいか」

 危ない危ない、そう思った。ちゃんと気を引き締めなければ。

 だが、このとき既に俺たちは悪魔に狙われていた。もし、気づいていれば、俺の人生は変わっていたかもしれない。

 この日の帰り、俺はいつものようにシオーネと一緒に帰っていた。

「少し暗くなってきたな」

「そうだね……。だけどマシューが居れば心配はいらない」

「ばか……。そんなことあるわけがないだろ」

 俺は恥ずかしくて赤面していた。

 その直後、そんな思いも吹き飛んでしまった。目の前に悪魔がいたからだ。その悪魔は巨大で人の形をしているが皮膚の色は茶色で、目の色は真っ赤だった。

「何……これ……!?」

 くそっ、と悪態を思わずついていた。そんな中で、今とるべき最良の方法を考えた。それはもちろんシオーネを逃がした後で、この悪魔を早めに倒すことだ。

「シオーネ、お前は逃げるんだ。俺には構うな!」

「え!? これが何か分かってるの? 化け物なのに何でそんなことが言えるの?」

「いいから、俺を怒らせるな!!」

「……マシューはどうするの?」

「俺はこいつを釣って、その後隠れる」

「ばかね、本当に」

「そうだな、俺はばかだ」

 もちろん隠れるわけがない。そんなことをすれば、この悪魔が何をするか言わずとも分かる。シオーネや他の人間を殺すだろう。つまり、俺は闘うしかないのだ。

 そのことをシオーネが気付いているかは定かではないが、もし気づいているなら俺は言い逃れはできない。

 だが、シオーネは何も言わずにこの場から逃げようとした。だが、それを悪魔は見逃さなかった。

 恐ろしく巨大な拳でシオーネを殴ったのだった。言うまでもないが人間の体は悪魔に比べ、ひどく脆い。だから、この一撃でシオーネは死にそうになった。

 俺は目の前の光景が理解できなくてそのまま立ち尽くしてしまいそうだった。でも、シオーネを助けなければという強い思いのおかげで行動することができた。

「うおおおお!!」

 俺は叫びながら悪魔に向かって突っ込んだ。その悪魔は体こそでかいが、そこまで強くないらしく、俺を見たとき怯えていた。いや、これは奴の罠かもしれない。油断は禁物。

 俺は容赦なしに斬りかかった。すると、悪魔は真っ二つに斬れた。どうやら本当に強くなかったらしい。

 とりあえず悪魔を倒したので、シオーネのところへ急いで駆け付けた。

「シオーネ……」

 このとき俺は少し涙声になっていたのに気がついた。

「泣か……ないで、マシュー。私はもう大……丈夫だ……から」

 途切れ途切れにそう言った。俺は涙を抑えきれなかった。こんな思いをしたのは初めてだ。そのとき、天の声のようなのが聞こえた。

「その女を助けたいならば、血を注げよ」

 俺は少し信じ難かったが、それ以外に方法がなさそうなのでやろうとした。

「マシュー……、何で……自分自身に……傷を……」

「あまり喋るな」

 俺はシオーネに血を注いだ。いや、注いだというと語弊があるかもしれない。正確には、血を飲ませた。

 また天の声だ。

「そうすることによって、そいつはお前と同じ悪魔になる」

 安易に予測できたことだが、そう言われると結構胸に深く突き刺さる。

「マシュー、私、何か寒いような気がする」

 この言葉は結構すらすらと言えていた。助かったんだと思った。だが、逆に人間としては死んだとも思った。

「寒い? わかった」

 とりあえず服を脱ぎ、軽く上にのせた。

 そして、これくらいでいいかなと思ったところで血を飲ませるのをやめた。

 しばらくすると、シオーネの傷口が氷で塞がり、周りに流れていた血が凍り始めた。

「何だ!? これは」

 俺はそう言った直後、ひょっとして俺の氷の力を受け取ったのかと思った。まるで雪女のように。

「だいぶ気分が良くなった。もう大丈夫だと思うけど、これはどういうこと?」

 恐れていたことを問われた。もう引き下がれない。俺は悪魔だということや他の仲間たちのことなど、全てをシオーネに話した。

「つまり、もう元には戻れないってことね。わかった、私はマシューに惚れてるんだから一緒についていってあげる」

 こうして、俺の恋人であるシオーネが仲間に加わった。これからはバラ色の人生が始まる、そう俺は思った。

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