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悪魔と神の子  作者: Leone
第三章 記憶編
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第78話 悪魔とエクソシスト

「やっとね……」

 そう呟いたのは、シオーネという少女だった。

 彼女は今、マシューは知らないが彼のいる町にいたのだった。

「これからどうしようか……」

 シオーネは悪魔であるが故に、周囲に多くの悪魔を引き連れていた。

 一時的にリーダーのマシューの代わりとして。

 そして、リーダーである彼は現在、エクソシストと組んでいる。その事を、シオーネは知らないのだが。

 シオーネの問いには、周囲にいる悪魔のうちの一人が答えた。

「とりあえずはマシューの情報集めからだろう」

 この者の名は、ルシファー。偉大なる、十の大魔王の一人、天空を司る王だ。

「まあ、確かに情報なしでは動こうにも動けないからね……」

「何人か選んで集めさせようか?」

「お願いするわ」

 この場にもし、マシューがいたなら違和感を覚えたかもしれなかった。

 何にかというと、雰囲気が明らかに違っているのだ。うまく説明できないような、微妙ではあっても明らかに違う雰囲気。



 そして、その頃マシューはというと……。

「ふあぁ…………」

 大きな欠伸を一つ。

 彼がいるのは病院だった。理由は怪我を癒すため。

 本来なら、軽く手当てをして後は何もしないつもりだったが、マシューはいろいろあって学校へ通っているのだ。軽い手当てだけでは傷が目立ちすぎて、流石に困るというわけだった。

 そのため、再び病院で手当てを受け、傷を癒しているのだった。もちろん、学校へは行かずに休んで、だ。

 他の者もそれは一緒だった。

 アリスやレーラも例外ではない。

 彼女らもまた、怪我が目立つのは嫌だったらしく、病院へ来たのだった。

 偶然にも、同じ病院、同じ病室だったが。

「だらしない欠伸ね……」

「別に欠伸くらい、いいだろ」

「まあまあ、喧嘩は止めとけ」

 そう言ったのは、アック。

「……この先、どうなるのかな……」

 マシューは不安だった。

 記憶喪失のせいもあるのだろう。だが、マークはただの弱い悪魔ではない。それ故、恐怖もあるのだろう。

 さらに、シオンの事もあるのだから、尚更だ。

 泣き面に蜂。

 彼はそういう状況に立たされているのだ。

 おそらく、シオンと闘ったアリスやレーラの方が恐怖心は上だろうが。

 だが、恐れてばかりもいられない。

 記憶を取り戻すためには、闘って勝たなければならないのだ。

 別に無理をしてシオンに勝つわけではない。マーク達に勝つことができれば、取り戻すことはできるだろう。

 マシューは知っている。

 マーク達が、自分の記憶の石を使って何かを企んでいる事を――。

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